カタチ全く国産と違う! 日本最長の路面電車の秘蔵「外国電車」たちを実見 どうやって維持してる?
運転時、日本製と外国製とで明確な違いとは
――破損したり、機器類の部品がなかったりする場合は、国産のもので置き換えられているのですか?
スイッチ類に関しては、国産のものを多数使用しています。基本、破損すれば修理を行い使用しますが、修理不能となれば国産のものに置き換えます。
――国産の車両と比較して、鉄道会社として「外国製は違う」と感じる部分はありますか?
ブレーキに関する操作が異なります。ブレーキを掛ける時、日本の電車はブレーキハンドルを前方に押しますが、外国の電車はブレーキハンドルを手前に引きます。力行(編注:加速)についても同じハンドルで操作するため、日本の操作とは逆になります。感覚の違いが電車の運転操作に現れています。
――日本製の電車も、かなりレトロな車両を運行されていますが、観光資源として活用されるお考えはありますか?
製造時や、旧所属会社の塗装に戻しての撮影会などは、地元愛好会のご協力を得て開催した実績があります。また、クルーズ船が寄港した際などに当電車をご利用いただいております。
――全国でも珍しい外国電車ですが、お客様の反応はどうでしょうか?
外国電車は通常、営業電車での運行をしておりませんので、毎年5月の「電車の日」イベントで披露します。車庫見学などで多くの子供たちをはじめ、県内外のお客さまに喜んでいただいています。また、全国から多くの鉄道ファンの方に貸切電車のご要望をいただいています。
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ちなみに主な国産電車は次の通りです。
・200形(都電6000形を原型とした車両):1950(昭和25)年製造
・590形(元・名古屋鉄道美濃町線):1957(昭和32)年製
・600形(都電7000形を原型とした車両):1957(昭和32)年製
・700形(元・山陽電気軌道):1958(昭和33)年製
・800形(元・山陽電気軌道):1971(昭和46)年製
・1000形:1981(昭和56)年製
・2000形:2000(平成12)年製
・100形(超低床電車):2002(平成14)年製
・3000形(超低床電車):2018年製
新旧入り交じり、見る人を飽きさせません。
【了】
※一部修正しました(1月11日19時20分)。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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