ビル群スレスレ急旋回!! 伝説の「香港カーブ」をご存知か パイロットの目印“市松模様の山”がもはや歴史遺産になっていた
香港の歴史的遺産へ 化粧直しも完了!
この赤白の標識は頂上付近の西側と南側の二面に設けられ、通称「チェッカーボード」と呼ばれたことから、格仔山は別名「チェッカーボードヒル」とも呼ばれていました。香港空港に西側から着陸する場合、パイロットはこのチェッカーボードを目標に降下を続け、チェッカーボード上空で右に旋回、啓徳空港の13番滑走路に向かって最終進入する経路を採っていました。
ただ、この目立つチェッカーボードも啓徳空港の廃止とともに使われなくなります。その後、年とともに塗装が剥げていきましたが、歴史的にも重要な施設であったことから、現在でも訪れる香港市民は絶えません。さらに、啓徳空港を記念する施設として保存する機運も高まったことで、新型コロナが蔓延していた時期にも関わらず、2020年から2021年にかけて復元作業が行われています。
チェッカーボードの模様は新しく塗り替えられ、現役当時の状態に復元されました。格仔山に近い九龍仔公園からは、鮮やかに塗りなおされたチェッカーボードを見ることができますが、その前に生えている木々の高さが25年の歳月を物語っていると言えるでしょう。
啓徳空港が現役だった時代は、進入路に沿ってビルの高さ制限が設定されていましたが、今では香港のどこでも見られるような高層ビル街に変貌してしまいました。しかし、着陸進入で目安とされたチェッカーボードは塗り直されて往時の姿を今に伝えています。
香港を訪れた際は、この歴史的遺産を眺めながら当時の「香港カーブ」を思い出してみるのもよいのではないでしょうか。なお、九龍仔公園はMTRと呼ばれる香港地下鉄の楽富駅から徒歩で訪れることができます。
【了】
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
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