“国防も疎かにせず!” 今年の「降下訓練始め」世界8か国による国際演習に 陸上自衛隊
現場レベルの連携が外交安全保障の向上にも
もうひとつの理由は、各国の空挺部隊同士による関係の強化と、それによる多国間での安全保障の連携です。
「降下訓練始め」の前々日、1月5日(金)には各国の空挺部隊の指揮官が集まった「国際空挺指揮官会議」が開催されました。ここでは「インド太平洋地域の平和と安定のために空挺部隊が果たすべき役割」というテーマを元に、第1空挺団と、令和6年降下訓練始めに参加した7か国、さらにオブザーバーとして来日しているカンボジア、これら国々による空挺部隊の指揮官が参加していました。日本を含め合計9か国による空挺部隊の指揮官が一堂に会する機会は、世界的に見ても珍しいといえるでしょう。
現在の防衛や安全保障の政策は、一国単独でこれに対応するのではなく、複数の国々で連携して行う国際的なものとなっています。それは、2022年に始まり現在も続いているロシアのウクライナ侵攻でも明らかで、圧倒的な兵力で国土に攻め込んできたロシア軍に対してウクライナが頑強に抵抗できているのは、NATO(北大西洋条約機構)を中心とした国際的な支援が続いているからでもあります。
日本においても、国土や周辺地域において軍事的な衝突が起きた場合には、アメリカを始め、さまざまな外国の支援や連携が不可欠になるのは間違いありません。
国際的な安全保障の枠組みでは、国としての外交安全保障政策だけでなく、このような現場レベルでの日々の交流も重要となってくると、今回の「降下訓練始め」や「国際空挺指揮官会議」を取材して、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は改めて感じました。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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