ドイツの電撃戦もこの戦車がなければ実現しなかった!? 大戦序盤の機甲部隊を支えた戦車とは 実は“チェコ製”

1940年5月から開始されたフランス及び西欧に対するナチスドイツの「電撃戦」と呼ばれた侵攻作戦。それを支えた存在のひとつともいわれるのが、チェコ製の戦車である38(t)です。

この戦車がなければ戦争はもっと早く終わっていた!?

 そもそもなぜ、チェコ製の戦車がドイツに配備されていたかというと、第二次大戦勃発直前のチェコスロバキアの事情が関係してきます。

 第一次世界大戦でオーストリア・ハンガリー帝国から独立した同国ですが、ドイツにナチス政権が成立した後は同国と深刻な対立関係にあり、自国の安全保障のために戦車を自国で開発しドイツに対抗しようという計画を立てます。当時チェコスロバキアは東欧随一の工業国でした。その際に計画された1両がLT-38戦車で、これが後にドイツで38(t)となります。

 ドイツは1938年9月、外交戦略によりチェコスロバキアにズデーテン地方を割譲させると、1939年3月にはチェコスロバキアを解体。その際、現在のチェコ側の領土となる地域のほとんどはドイツに併合されることなり、量産の始まったばかりのLT-38も接収されたのです。そのズデーテン地方を割譲する際、チェコスロバキアを見捨てた国のひとつであるフランスで38(t)は真価を発揮することになります。

 

 38(t)と戦闘を行った騎兵戦車のソミュアS35、軽戦車のオチキスH35、中戦車のルノーD2といったフランス軍の戦車は、どれも火力・装甲ともに38(t)よりも優れていました。それどころかIII号戦車、IV号戦車よりも高い火力と装甲を誇っており、数も上回っていました。

 しかし、これらのフランス戦車は速力が遅く、無線も搭載されていなかったことから、ドイツ軍戦車部隊は軽快な速力と無線を活かした戦法で有利に戦闘を進めることになります。そうした機動戦にも耐えられる性能を、本来チェコ製である38(t)は持っていました。

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進軍する38(t)(画像:連邦公文書館)。

 38(t)はリベット留め装甲板の強度や、被弾時にリベットが車内を跳ね飛んで危険といった問題、砲塔旋回装置が重い手動式で、車長が砲手を兼ねるため指揮に専念できないといった欠点こそありましたが、当時ドイツが運用していた戦車のなかではかなり優秀でした。そのため、同戦車がなければ、ポーランド侵攻やフランス侵攻に成功することはなく、戦争は早々に終結してしまっていた可能性もあるといわれています。

 ちなみに、38(t)のtは重さの「トン」を示すのではなく、チェコ製を示す「Tschechisch」の略で、車体重量は9.5トンでした。

【了】

【実は別物だった!】これが、かつては38(t)の派生型といわれていた車両です(写真)

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