最新戦闘機「F-35」ようやく本気の量産へ 7年遅れの“低率生産”解除 その先の世界とは
将来60年以上にわたって飛び続けるために
ただでさえ高性能なF-35ですが、現在は「TR-3(テクニカルリフレッシュ3)」と呼ばれるコンピューターのハードウェアを更新した性能向上型が生産中です。しかし、TR-3上で動作する「ブロック4」ソフトウェアの実証が遅れている影響で、2023年末から引き渡しが停止しています。つまり、F-35 TR-3という機体は完成しているものの、ソフトウェアがインストールされていない状態で、70機あまりが保管されているのです。
ブロック4の実証が完了次第、引き渡し停止も解除される見込みですが、2025年を予定しています。そのため、2024年の生産数は数十機になり、続く2025年は繰り越した分が加算され200機を超えることが予想されます。なお、これに伴い4桁の大台となる1000機目の引き渡しも同時に達成されるでしょう。
F-35の全規模量産認証は、これから何かが変わるというよりも、各種実績の積み重ねによって目標を達成したという意味合いが強いものです。そのため、ここから特段F-35の量産数が増えるということはないでしょう。おそらく、年産150機程度が今後10年以上続くと思われます。
なお、アメリカ軍におけるF-35の運用計画は、これまでの2077年から2088年へ延長される見込みです。そういったことを鑑みると、当面世界の戦闘機市場においてF-35一強の時代が続くのはほぼ確実である模様です。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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