キケンな燃料輸送もう必要なし!「油の地産地消」 兵器大手がPRする新たな手法とは ?

空母や揚陸艦でも燃料精製が可能に

 Giga-PtXプロジェクトで想定している製造プラントは、物流で使われているISO(国際標準化機構)規格のコンテナに分けて収納することができるように設計されるとのこと。これにより、一般的な石油精製プラントと違って、需要と供給に合わせて設置場所を移動させることもできます。

 ラインメタル社によれば、その場所は陸上だけでなく、揚陸艦や空母といった大型艦船へも想定しているそうで、たとえば原子力空母であれば、原子炉で生み出される無制限のエネルギーによって、搭載する航空機に燃料を供給できると解説していました。

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デモンストレーションで激しい走行を見せる軍用車両「カラカル」。e-fuelでも走行性能に変化がないことをアピールしていた(布留川 司撮影)。

 一般的な自動車の世界では、化石燃料を使ったエンジンの代替として、バッテリー充電式の電気自動車(EV)や、水素を使った燃料電池車の普及が進められています。しかし、軍事の分野においては、これらでは効率が悪く、現時点ではまだ試作や計画のみに留まっており、量産されたものはほぼありません。

 INERATEC社ではドイツ国内で工場の建設を進めており、同社のe-fuelは実用化に向けて着実にステップアップしており、その後ろにあるGiga-PtXプロジェクトは軍隊における兵站業務の改革も目指していることから、実用化すれば軍隊のありよう自体にも劇的な変化をもたらす可能性があるといえそうです。

【了】

【匂いは?】コップに入れると「まるで水」な合成燃料 プラントの様子も(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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