「第二青函トンネル」不要? 東京‐札幌4時間半どう実現 北海道新幹線の“現実的な”高速化を考える

共用区間はトンネル部分だけではない

 前出の「東京~札幌4時間半」も、大半の区間で320km/h運転している前提と見られ、貨物列車との両立が前提なら、もっと遅くなる可能性も高いです。第二青函トンネル建設が根本的な解決となりますが、巨額の建設費から実現の目途は立ちません。

 以上を踏まえ、筆者(安藤昌季:乗りものライター)は北海道新幹線の高速化について改善策を考えてみます。それは「共用区間の短縮」です。

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青函トンネルを走行する貨物列車(画像:PIXTA)。

 青函トンネルの全長は約54kmですが、共用区間は前出の通り約82kmあります。多客期の青函トンネル内260km/h運転時でも、トンネル外の共用区間約28kmでは140km/h運転です。共用区間の分岐は、奥津軽いまべつ駅より手前の大平分岐部で行われていますが、これを短くすれば高速化と増発が可能です。

 青函トンネルの断面図を見ると、トンネルに入って2km付近と51km付近は、地上すれすれを通っています。浅いトンネルであれば地圧は少ないため、浅い部分に接続線となるトンネルをつなげて在来線を分岐させれば、共用区間は82kmから49kmに短縮できます。

 特に本州寄りの浅い場所は、JR津軽線の三厩駅から1km程度の位置と思われ、津軽線から接続線を建設すれば貨物列車を退避できます。現在、津軽線末端区間の廃線が議論されていますが、この区間を貨物メインとして電化してはどうでしょうか。

 北海道側は、青函トンネルの出口付近に退避設備となる湯の里知内信号場があるため、そこまでは接続線を建設する必要はありませんが、こちらも廃止されたJR江差線を貨物専用で復活させ、トンネル内から接続線を延ばせば、共用区間を3km程度は短くできます。

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