国鉄の“やる気のなさ”が元!? 個室寝台「シングルデラックス」改良史 いまや特急「サンライズ」に残るのみ
シャワールームが備わりベッドも改良
その後1989(平成元)年、寝台特急「北陸」用に改造車オロネ14形700番台として、新たな「シングルデラックス」が登場します。新「シングルデラックス」は、定員を3人減らした11人とし、個室幅を1.2mから1.46mに拡大して、圧迫感を解消しました。
さらに、ソファを折りたたんで裏面を寝台にしたことで寝台幅も765mmに拡大、座席形状も大幅に改善されて快適になりました。洗面台も個室内の中央付近へ移動させ、窓際は足の部分が広く取られました。加えて映画などが見られるモニターとテーブル、オーディオ装置も備えました。
翌年には寝台特急「あさかぜ」「瀬戸」用に、オロネ25形300番台が登場します。大きな変化は、A個室寝台客向けシャワールームの設置でした。これにより個室が1室減り、定員は10人となっています。寝台部分は「北陸」用とは異なり、座面が寝台と座席が兼用ですが、寝台幅は810mm、個室幅1.47mとより広くなりました。窓側に背もたれと肘掛けが設けられていましたが、これは補完的で、最大の特徴は「ギャッジ式ベッド」でした。
ギャッジ式ベッドとは、寝台の通路側部分がせりあがって斜めとなることで、寝ながら姿勢を起こし、窓向けに足を伸ばして景色を眺められる寝台です。このタイプから、1・2番、3・4番など個室間を隔てる内扉も設置され、2人利用に配慮もされました。映画が見られるのは「北陸」用と同じですが、モニターにビデオデッキが備えられ、ビデオを持ちこめば好きな映画を見ることもできました。
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