潜水艦から「バッヒューン!」なぜ警戒が必要か 北朝鮮も導入始めた「恐怖のミサイル」将来は韓国も?

潜水艦から発射される弾道ミサイルをSLBMと呼びます。この兵器は、潜水艦の隠密性と相性が良く、複数ある核戦力の中でもかなり脅威度が高いとみられています。

核弾頭の場合は一発でも撃ち漏らしたら終わり…

 潜水艦が弾道ミサイルを積むようになったのは、1950年代後半からで、最初は旧ソビエト連邦がズールー級潜水艦の一部を改造し、地上発射用の弾道ミサイルR-11(スカッド)の派生型を内蔵できるランチャーを設置したのが始まりです。

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アメリカのオハイオ級原子力潜水艦がミサイルハッチを開いた状態(画像:アメリカ海軍)。

 現在のように、水中からミサイルを垂直射出できるようになったのはアメリカ海軍のジョージ・ワシントン級原子力潜水艦からです。1番艦「ジョージ・ワシントン」は1959年に就役すると、翌1960年に「ポラリス」ミサイル(退役済み)の水中発射実験に成功、こうしてSLBMの時代が幕を開けています。

 長射程な核兵器と原子力潜水艦が組み合わさることで、燃料補給なしに長期間活動できる体制も確立され、地上発射のICBMや核搭載可能な戦略爆撃機と共に、SLBMは核戦力の一翼を担うようになりました。

 前述した「トライデントII」の場合、ミサイルは2万1600km/h(約マッハ17.6)というとてつもない速度で飛翔してきます。さらに、1発のSLBMに最大14発の弾頭をまとめて積むことも可能で、全てを核弾頭にすることもできます。

 多弾頭の場合、大気圏外に出た後、速度と方向を微妙にずらしながら順番に弾頭を切り離し、大気圏に再突入されるため、迎撃される可能性を軽減しつつ、より広範囲に被害をもたらすことが可能になっています。このようなミサイルが潜水艦数隻から一斉発射された場合、もはや1発残らず撃ち落とすことはできず、甚大な被害を受けることはほぼ確定となってしまいます。

 なお、全てのSLBM保有国が、「トライデントII」と同じ性能を持つミサイルを持っているわけではありませんが、SLBMがあれば仮に核戦争で世界の国々が壊滅した状態でも、潜水艦を発見されていなければ無傷でミサイルを撃つことができます。いつでも報復が可能なミサイルであるという点も、大きな脅威である理由です。

 なお、2024年現在、SLBMを搭載可能な原子力潜水艦を運用する国は、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、インドの6か国です。加えて通常動力型のSLBM発射能力を持つ潜水艦を、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と韓国が保有しています。

 日本周辺に限ると、米ロ中の3大国に加えて朝鮮半島の2か国、計5か国がSLBM搭載潜水艦を保有していることになります。これだけでも、我が国の安全保障環境は緊迫していることがわかるでしょう。

【引くときは地球最後か…】これが、核ミサイル「トライデント」の発射トリガーです(写真)

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