住民以外は「日本一乗るのが難しい」定期特急に乗ってみた 「あれ、さっき出てった“普通”列車じゃん!」

フットレストが備わる なぜ?

 では「むろと」はどの程度利用されているのでしょうか。2024年8月下旬の平日、筆者は徳島19時33分発の「むろと1号」で牟岐まで乗車し、翌日に牟岐6時59分発の「むろと2号」で徳島へ戻ってみました。

「むろと1号」は徳島駅へ19時5分ごろに入線します。キハ185系ディーゼルカーによる2両編成で、1号車の一部が普通車指定席となっており、青い枕カバーで区別されています。

 1号車の座席にはフットレストが付いていました。本来のキハ185系には備わらないのですが、この車両は一度 普通列車用に改造された後、特急用へ復帰しており、その際に8000系電車のリニューアルで不要となった座席へと換装されたのです。トイレも洋式化されています。

「むろと1号」は指定席の1号車15番AB席であれば、運転台越しの前面展望が楽しめます。発車前ですが、車掌が来て検札されました。1号車は指定席に4人、自由席に3人、2号車は自由席に12人が乗車していました。

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1号車の座席は8000系電車から流用されたため、フットレストが備わる(2024年8月、安藤昌季撮影)。

 座席定員は2両で120人ですから、乗車率は16%と寂しいです。出発して3分、最初の停車駅である阿波富田で4人が乗車して23人となりますが、1人下車があり、車掌が乗客から特急券を回収しに行きました。

 19時46分、南小松島着。わずか13分で指定席から1人が下車しました。その後は乗降なしで、20時2分に牟岐線の中心駅である阿南に到着。大量に下車し、筆者以外は自由席に6人だけとなりました。

 20時7分着の阿波橘駅で1人、20時12分着の桑野駅で2人が下車。20時37分着の日和佐駅で1人が下車し、ついに筆者以外の乗客は1人だけとなりました。人家がなく、周囲は暗闇。列車に葉が触れる音が響いて、回送列車に乗車しているような寂しさを感じます。20時58分、「むろと1号」は終点の牟岐駅に到着しました。

【写真】レア特急「むろと」車内には“電車”からの流用も

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