スーパーカブが足元にも及ばない!? 誕生78年「世界でいちばん有名なスクーター」なぜそんなにウケたのか

イタリア生まれのスクーター「ベスパ」。その歴史はスーパーカブよりもはるかに長く、独創的な機構とデザインが愛されてきました。ベスパの何がそんなにすごかったのでしょうか。

オードリーがまたがったのは「ベスパ」だから!

 イタリアのピアッジオ社が1946年に誕生させたスクーター「ベスパ」。一般的には、映画『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックがまたがったことで知られ、日本ではドラマ『探偵物語』で松田優作が愛用していたことを思い出す人も多いのではないでしょうか。

 

 しかし、ベスパは後述するような独創性から、こういったエピソード以上に世界中のバイクユーザー、乗りものファンの間で知られた存在です。2021年時点で累計販売台数は1900万台を突破。現在のベスパは旧タイプの独創性こそ薄まっていますが、あと2年で80周年を迎えることから「特別な意味を持つスクーター」として多くの人に見られています。

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1946年に登場し、今年で78周年を迎えたベスパ(画像:ピアッジオジャパン)。

 ベスパを誕生させたイタリアのピアッジオ社は、もともと船の建具などを作る会社でした。そこから飛躍し、鉄道車両や軍用機も製造するようになり、第二次世界大戦時にはイタリアを代表する飛行機メーカーになりました。

 しかし、イタリアは敗戦国となり軍需が激減。また、戦後の貧しい時代でもあり、ピアッジオ社は事業の方向転換に迫られました。

 すでに戦時中、のちのスクーターの原型となる他社製のバイクが存在しました。それはパラシュート部隊向けの組み立て式バイクです。ピアッジオ社はこれをモデルにし、試行錯誤の末に1946年にベスパを完成させました。

 ベスパはフレームとボディを一体化させたスチールモノコック式で、前輪にはフロントフォークがない片持ちサスペンションを採用しています。これは航空技術の応用で、飛行機の着陸装置のランディングギアと同じ構造でした。また、ハンドルでの3速ギアシフトを実現し、スカートとヒールを履いた女性でも運転できるバイクにしました。

 これらの独創的で斬新な構造とコンセプトから、冒頭で触れたようにオードリー・ヘプバーンも簡単に運転することができたというわけです。

【多すぎるだろ!!】とんでもない数のベスパがやってくる「祭り」(写真)

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