あのカボチャみたいな色がなぜ特別? 「湘南色」とは何者か 日本人が“電車大好き”になったきっかけ!?
「オレンジと緑の電車」はすごい
80系は、運転台を電動車に設けていた慣習を取っ払い、電動車を中間車に設けることで定員を増やします。従来の客車のようにデッキ付きのボックスシートやトイレを備え、外観もオレンジと緑の塗装「湘南色」としました。以降、この湘南色を採用した電車が多数、登場します。ここでは東海道本線の系譜を追ってみましょう。
80系は好評で迎えられ、増備されました。当初は京都鉄道博物館の保存車両のような正面3枚窓でしたが、2次車から採用された、正面2枚窓スタイルは「湘南形」として、全国で流行します。運行区間も1951(昭和26)年より東京~浜松間257.1kmとなり、それまで電車の最長距離だった飯田線 豊橋~辰野間195.7kmを上回りました。
1956(昭和31)年に増備された300番台では、10系軽量客車の構造が採用されます。座席間隔なども客車と同じにされ、急行用客車の装備だった扇風機も備えられて、東京~大垣間の410kmを運行する準急「東海」などに投入されました。この実績が、後の電車特急や新幹線実現の根拠とされていくわけです。
80系の後継車両は、準急用は1958(昭和33)年からの153系電車、近郊区間用は1963(昭和38)年からの111系電車へ移行。111系はラッシュ時の円滑な乗り降りに限界があるとして、3扉セミクロスシートを採用しました。この座席配置は近郊形電車401・421系を基本にしたものです。なお、4扉ロングシート車の101系電車をセミクロスシート化した構造も検討されましたが、居住性に問題があるとして採用されませんでした。
111系は、主電動機出力を強化した113系電車、勾配や耐寒耐雪に対応した115系電車に発展します。111系は一等車も、80系のボックスシートから回転式クロスシートになりました。111系は2006(平成18)年まで、JR東日本の東海道本線で使われました。
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