非電化なのに「電車が走る」 架線は“ほんのちょっと”だけ!? 関東の行き止まりJR線に乗ってみた
宝積寺~烏山間を結ぶJR烏山線は、縁起のよい駅名に加え、かつては国鉄型気動車の活躍が話題でした。現在は非電化路線なのに“電車”が走ることで知られます。一見不思議な路線に乗ってみました。
最近までキハ40形が見られた首都圏近郊路線
栃木県北部、JR東北本線(宇都宮線)から枝分かれする形で、東へ延びる路線がJR烏山線です。ほかの路線と交わることはなく、終点で行き止まりとなっています。
烏山線は宝積寺~烏山間を結びますが、大半の列車が宇都宮駅まで直通するため、実質的には宇都宮~烏山間の路線ともいえます。そして烏山線は、非電化ながら“電車”が走る路線でもあるのです。
開業したのは1923(大正12)年。鳥山までの鉄道として、宝積寺からの路線と、真岡線(現・真岡鐡道)の延長が検討されたのち、宝積寺~烏山間が建設されました。その後、1934(昭和9)年より気動車の運行を開始。1960(昭和35)年にはバス転換が検討されたものの、1970(昭和45)年に国鉄の諮問委員会で収支係数が悪くないと判断され、転換を免れ現在に至っています。
烏山線では、全国ローカル線の顔でもあったキハ40形気動車が2017(平成29)年まで現役だったことから、「首都圏に近く、国鉄型気動車を体験できる路線」としても人気がありました。しかし、それに先立ち2014(平成26)年に導入された新型車両は“電車”でした。EV-E301系電車「ACCUM(アキュム)」と呼ばれる車両です。
JR東日本は2003(平成15)年にハイブリッド気動車「キヤE991形」を試作し、蓄電池で動く電気式気動車の実用化に着手していました。キヤE991形は2009(平成21)年までに、燃料電池を搭載したハイブリッド車両へ改造され、クモヤE995形に改められました。この試験車両により、「電化区間は通常の電車として走り、非電化区間では事前に充電し蓄電池に貯めた電気で走行する」というシステムの実用化に目途が立ちます。
クモヤE995形は烏山線を含む各地で試験が行われ、従来の気動車と比較して、二酸化炭素の排出量を約75%、消費エネルギーも約60%削減できることが確認されました。さらに気動車より騒音・振動が少なく、排気ガスも発生しないことから、量産型車両としてEV-E301系「ACCUM」が製造されたのです。
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