親に寄生!?「パラサイト戦闘機」各国で企画倒れに終わった納得の理由 でもウクライナ再注目で陽の目見るか?

機番まで確認できる。

アメリカでもパラサイト・ファイターは試みられたが…

 一方、第二次世界大戦後にアメリカでも旧ソ連と同じようなコンセプトで、親機であるB-36大型爆撃機にパラサイト・ファイターを搭載する親子機計画が立ち上がります。

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B-36にパラサイト・ファイターとして取り付けられたF-84F(画像:アメリカ空軍)。

 やはり、このときのコンセプトも敵国上空まで進出した爆撃機に護衛の戦闘機がないのは危ないため、迎撃に上がってくる敵戦闘機から爆撃機を守るために、護衛機を搭載したB-36を随行させようというものでした。

 ちなみに、この時アメリカが仮想敵国として考えていたのは、旧ソ連です。

 当初は、B-36専用のパラサイト・ファイターとして開発された小型ジェット戦闘機を爆弾倉の中に搭載しようというコンセプトで、XF-85「ゴブリン」が開発されます。しかし、小型で特異な形状が災いし、操作性が悪く、飛行試験の段階で母機への収容が困難ということが判明、計画中止となりました。

 次に、B-36の胴体にF-84ジェット戦闘機を、従来のように吊り下げ方式で搭載する「FICON」と呼ばれる計画が立ち上がります。こちらに関しては1955年から1956年にかけて限定的に運用されましたが、搭載機が1機のみ、しかも母機との結合に熟練の技術が必要とされる関係上、維持が困難であるということで、やはり運用停止に至っています。

 その後は、大陸間弾道ミサイルなど、ミサイル技術の発展や空中給油機の登場により、大型機に小型機を搭載する必要性を唱える人もいなくなり、こうしてその開発史は終焉を迎えました。

 ただ、今回は有人と無人の違いこそありますが、80年以上の歳月を経て「ズヴェノー」のような親子機のコンセプトが復活したことになります。

 なお、今回ウクライナで使用されている機体は護衛の戦闘機ではなく、帰還を期待しなくていい自爆ドローンであることが大きな違いです。さらに切り離す側の機体も無人機です。これならば、人的損失のリスクがない状態で、敵の車両や陣地などに今まで以上に、思わぬ場所から広範囲で攻撃を加えることができます。

もし「Dovbush T10」が今後、戦果を挙げるようになったなら、世界中でこうした親子機が開発される可能性もあるかもしれません。

【あれ、結構カワイイ?】これが、搭載用に開発されたミニ戦闘機「ゴブリン」です(写真)

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