これぞ時刻表トリック!? 先に出た特急に追いつく「トラベル・ミステリー」的乗り換えやってみた カギは「東金線」
鉄道を駆使して捜査をかく乱する「トラベル・ミステリー」。小説家・西村京太郎氏が有名ですが、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』など伝統的ジャンルでもあります。そんなトリックができそうな乗り継ぎを首都圏で見つけました。
なぜ成東→東京でトリックが成立するのか
「わかしお8号」は9時34分(平日は9時35分)、東京駅の京葉線地下ホーム1番線に到着しました。なお、先行した「しおさい8号」は、東京駅の総武・横須賀線地下ホーム2番線着です。
つまり、筆者は大網駅で乗り換えたにも関わらず、同時刻に東京駅に到着できたことになります。やや料金は余計にかかりますが、目的地が有楽町に近い場合は、実用的に使えるケースもあるかもしれません。
全体では東金線経由の方が2分短いので、トリック上、アリバイ作りに使えそうです。ちなみに、検索エンジン各社で検索したところ、「成東→東京」では「しおさい8号が最速」という結果が出ます。
大網駅での乗り換え時間3分は余裕があるわけではないので、検索エンジンにはかかりにくいのでしょう。実際、乗り換えの余裕は20~30秒ほどでしたので、駅の構造を理解していなければ、乗り換えに失敗する可能性があります。
時刻表トリックが成立する理由は、総武本線の東京~成東間が76.9kmなのに対し、京葉線・外房線・東金線経由だと75.9kmと距離が短いからです。総武本線は千葉駅と佐倉駅付近で大回りするため、それだけ所要時間面で不利になるということです。
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現代では絶滅寸前の「時刻表トリック」。皆様はどういったものを思いつきますか。「列車乗り継ぎの考察」という時刻表王道の楽しみとして、考えてみるのも楽しいのではないでしょうか。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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