速達性なし!? 珍しい「普通列車より遅い急行」に乗ってみた “食堂車”で沿線グルメに舌鼓

岐阜県の恵那~明智間を結ぶ明知鉄道は、急勾配や急カーブをレストラン列車がゆっくり走ります。料理に舌鼓を打ちつつ、特色溢れる駅や沿線を紹介します。

レストラン列車のパイオニア 出てきた料理に舌鼓

 JR中央本線 恵那駅のホームが一部切り欠けとなっており、明知鉄道の列車はそこを発着します。大きなヘッドマークを付けた「大正ロマン1号」が入線してきますが、4両の長い編成がホームに収まりません。先頭車両へは2両目から乗車することになります。

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2008年に開業した極楽駅。待合所が特徴的だ(安藤昌季撮影)

 料理はきのこ小鉢3種、土瓶蒸し、天ぷら、鮎の甘露煮、きのこの炊き込みご飯、果物などと品数が多く、郷土料理も相まって個性豊かです。

 ウリであるきのこ料理は、土瓶蒸しに松茸が入っているほか、あみ茸やろうじ茸など、珍しいきのこも使われていました。地域の名産である寒天料理も食感が楽しく、さすがレストラン列車の老舗と思える味です。

 さて、「大正ロマン1号」は前出の飯沼駅をゆっくりと通過しました。12時51分には、2008(平成20)年開業の極楽駅に停車。明知鉄道で最も新しい駅で、近くにある極楽寺にちなんだ駅名です。入場券が縁起物として売れているそうです。

 ただ開業後、「極楽らしさが足りない」という理由で2019(平成31)年に改修されています。そのため、筋斗雲をモチーフとしたレリーフのある待合所や、待合室内の地蔵菩薩像など、なんとも極楽らしさが強調された駅になっています。

 寒天資料館を併設するレストラン「かんてんかん」が入る山岡駅などを過ぎ、13時19分に明智駅へ。ここには国鉄C12形蒸気機関車と車掌車が置かれており、構内をSL運転体験で往復することもできます。

 終点で急行「大正ロマン号」の乗客は、一部が観光バスに、一部が「日本大正村」に分散していきました。25.1kmの明知鉄道は、列車にも沿線にも見どころが豊富です。

すごい坂! 「勾配日本一」駅を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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