• 2025.02.27
• 松田義人（ライター・編集者）

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1977年にリリースされたヤマハ・パッソルの爆発的なヒットをきっかけに、80年代以降、空前の原付スクーターブームが巻き起こりました。ホンダ・ヤマハに対し、スズキも個性あふれるモデルを数多く打ちだして応戦しました。

まだまだ、まだまだ出てくるぞ！

　一方、1984（昭和59）年には蘭や薔薇とはまるで違うコンセプトの原付スクーター、「シュート」をリリース。カクカクしたスペイシーな外観で、走行性・制御性双方を高めた1台でした。

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　同年にはラブのモデルチェンジ版、「ラブ・スリー」をリリースしました。コンパクトにして低・中速機能を重視させたモデルで、街乗りに特化させた原付スクーターでした。やや尻上がりに映る外観から察するに翌年リリースのヒットモデル、「ハイ」の布石的な1台だったようにも感じます。

　1985（昭和60）年登場の「カーナ」はスポーティスクーターとしてコアな人気を誇りました。2サイクルエンジンとVベルト無断変速方式との掛け合わせで、鋭い出足とネバり強いトルクを実現。一見、ごく平凡にも映る外観にして、当時としてはパワフルな原付スクーターでした。

「原付スクーター×ファッション」を強く意識したハイ

　1983（昭和58）年、ホンダ・タクトにラインナップされた、ファッションブランド・クレージュのコラボ仕様車の大ヒットを受け、80年代中半は各社ともに「原付スクーター×ファッション」を意識するようになります。そのスズキのアンサーが、1985（昭和60）年リリースの「ハイ」です。

　ハイは「ピンク×黒」の配色により当時の若者のファッション志向に応えたモデルでした。ラブ・スリーのやや尻上がりな外観をさらに高めたデザインは「ハイヒップ・シェイブ」と呼ばれ、かなり斬新に映りました。

　また、1986（昭和61）年にはこのハイに当時絶大な人気を誇ったDCブランド・PERSONSのコラボモデルも発売。「原付スクーター×ファッション」を強く意識していたことがわかります。

　しかし、柔いだけじゃないのがスズキの良いところ。1987（昭和62）年にはハイのスタイルや装備に、スポーツ性能を加えた「ハイR」をリリースします。フロントブリスターフェンダー、フロントカウル、アンダーカウル、リヤスポイラーなどを搭載し、さながら「原付スクーターのレーサー仕様」のような風貌。女性ユーザーに多く好まれたハイでしたが、ここで一気に男性ユーザーをも巻き込む取り組みがとられたように映ります。