L特急に国鉄色まで再現! タイへ渡った中古車両 随所に感じた日本へのリスペクト「一見の価値ありです」

JR北海道で廃車となった元「はまなす」用の14系座席車とキハ183系0番台は、海を渡ってタイ国鉄へと譲渡され、観光列車として美しく整備されて活躍しています。車両の改造を担当した現地のエンジニアへ、インタビューしました。

残されたL特急エンブレム 国鉄色の編成も登場!

 2編成のキハ183系は、タイ国鉄のオリジナルカラーではなく、再度JR北海道カラーをまとって登場しました。運行は特定のルートや固定ルートを使わず、季節ごとに手配する臨時列車となるため、JR北海道カラーのままとしました。

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KIHA183第3編成車内。「くずもの入れ」表記も活かされている。細かいところも往時の姿を残してくれるので、日本人鉄道ファンには嬉しい(マッカサン工場、許可を得て撮影)

 車体の仕様は、車両限界の関係で前頭部のヘッドライトは移設しました。若干顔つきは変化したものの違和感がないのは、先頭部の「L特急」エンブレムが残されていることです。車体表記は国鉄フォントを意識したフォントで表記され、車内もJR北海道で活躍した当時の状態を踏襲して、日本語表記を生かしています。ちなみに、タイでの形式もズバリ「KIHA183」。随所に日本の車両に対する愛を感じました。

「日本の車両は他国と比較してメンテナンスしやすく、中古車両の状態も良いのです」

 アディソンさんはJR各社とのつながりも深く、自身も秋田で鉄道の研修を受けた過去があり、日本の車両が大好きとのこと。その愛情の表れが形になったというのは大袈裟ですが、この車両に乗車してタイの観光地を巡りたい日本人に向けて、より身近に感じてもらえたらと、あえて日本時代の雰囲気を残したといいます。

 2024年9月には、第3編成となるキハ183系の先頭車2両編成が出場しました。その姿はなんと国鉄色。スラントノーズデビュー時とは異なる色分けですが、タイ国鉄が日本国有鉄道の塗装をリスペクトしてKIHA183の塗装にしたのです。国鉄色にする際には、アディソンさんが大宮の鉄道博物館へ訪れ、485系電車などの国鉄色を参考にしました。

 KIHA183は2年ほど現状のままで運行し、その後、機関部を交換して10年間は動かす計画です。日本で引退した車両がタイで大事に愛されるのは嬉しい限り。日本時代を色濃く残したKIHA183の観光列車に揺られて日帰り旅行をするのも、新たなタイの楽しみとなるでしょう。

もはや「レッドトレイン」!! 青くない14系客車(現地写真)

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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コメント

1件のコメント

  1. L特急エンブレムって、嘘書かないで。

    あれは特急車両のエンブレム。

    L特急誕生のはるか前から存在していた。

    一般に間違った知識を与えないように気をつけて。