米の新戦闘機F-47「“劣化版”つくって輸出する」宣言! 「じゃあ要らないよ!」にならないか? トランプ氏の発言が波紋
アメリカのトランプ大統領は、同国空軍向けの次世代戦闘機「F-47」について、ボーイング社が開発・製造を行うこと、そして最新のイメージ図を発表しました。同盟国向けに輸出も可能といいますが、しかしトランプ大統領の「不用な発言」が波紋を呼んでいます。
トランプ氏は「どこの国」に向けて言ったの?
ジョー・バイデン政権時代にアメリカ空軍長官を務めていたフランク・ケンドール氏は、アメリカの防衛メディア「ディフェンス&エアロスペース・リポート」のポッドキャストの中で、当初のNGADはF-22Aと同様のコンセプトの戦闘機だったが、「CCA」(Collaborative Combat Aircraft:協調無人戦闘機)と呼ばれるUAS(無人航空機システム)の登場とその急速な進化により、CCAの司令塔としての能力が重視されるようになったと述べています。

少数の有人戦闘機が多数のCCAを制御して航空優勢を確保するという考え方は、アメリカや日本やヨーロッパの先進国ではトレンドになりつつありますが、このような将来の戦闘機戦力のビジョンを描けている国は、まだ多くありません。
ビジョンを描けている日本、イギリス、イタリアはCCAとの協働を前提とする新有人戦闘機を開発する「GCAP」計画を進めており、この計画にはサウジアラビアやインド、カナダなどの参加も取りざたされています。フランスがアメリカ製兵器を購入することはあまりないのですが、同国はドイツ、スペインと、やはりCCAが協働する新有人戦闘機「FCAS/SCAF」の開発を進めています。
トランプ大統領やアメリカ政府の高官がどの国を「一部の同盟国」に想定しているのかはわかりませんが、将来の戦闘機戦力のビジョンを描けているアメリカの同盟国は、各々の計画を進めており、それもF-47の輸出を困難にする要因の一つとなるかもしれません。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
劣化版限定でF-35の輸出が困難なロシア製ミサイルの問題を抱えるトルコやライセンス生産を許す形でメイク・イン・インディアを掲げるインドへの折衷案として提示した説