ライバルですよね? でも線路は共用する区間3選 なぜ複雑な事情は生まれたか
A社の鉄道車両がB社の線路を走っている――競合関係となっている2社が、線路を共用している例があります。そのような区間を首都圏、関西、中京地域でひとつずつ紹介します。
首都圏では東京メトロvs東京都交通局
東京の地下鉄では、目黒~白金高輪間で東京メトロ南北線と都営三田線が線路を共用しています。この区間は2000(平成12)年に開業しましたが、同時に東急目黒線と相互直通運転を開始したことで、目黒~白金高輪間のみならず、乗り入れ先の目黒線などでも南北線の車両と三田線の車両がすれ違うことがあります。

白金高輪駅から先は、南北線の後楽園駅と三田線の春日駅が乗換駅として設定されており、後楽園~駒込間(南北線)と春日~巣鴨間(三田線)では路線が並行しています。これら区間は南北線が三田線よりも後に開業していますが、南北線の開業により三田線の利用者が南北線に流出した時期もありました。
ちなみに目黒~白金高輪間は、東京都交通局が第二種鉄道事業者として東京メトロ南北線の線路を使わせてもらっている状態です。そのため、駅や線路は東京メトロ(東京地下鉄)が保有・管理しています。
【番外編】神戸高速鉄道 高速神戸~新開地
阪急電鉄と阪神電鉄は2006(平成18)年に阪急阪神ホールディングスの傘下となりましたが、大阪梅田~神戸三宮間で路線が重複し、競合関係にあります。
しかし、神戸高速線を通すことで阪急線と阪神線の両方の線路を接続。これにより、いずれも大阪梅田駅から直通列車を運行できるようになりました。このため、神戸高速線の高速神戸~新開地間では阪急の列車と阪神の列車が同じ線路を走っているのです。
もっとも神戸高速線こと神戸高速鉄道は、神戸に乗り入れる4つの私鉄(阪急電鉄・阪神電気鉄道・山陽電気鉄道・神戸電鉄)の路線を結ぶべく開業した路線です。このうち阪急・阪神・山陽電鉄の各路線とは1968(昭和43)年に線路が接続され、1998(平成10)年からは大阪~姫路間を阪神線と山陽電鉄経由で結ぶ直通特急も運行されています。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
関西の双頭 阪神 阪急が合併してしもた頃から、鉄道事業の地盤はマグマ状態ですよ
人口減少と宅地開発の縮小で、各社尻に火がついてきています
豊川鉄道は路線を国鉄に買収された翌年、最終的に名鉄に吸収された。こういった経緯もあるので本来なら、戦時体制が解除された際には飯田線の豊川鉄道敷設区間は事業会社を吸収した名鉄に返還されるべきところだったのだが、旧国鉄やJR東海はそんなことをするはずもなく、名鉄は不利な状況を強いられており、乗客にとっても極めて不便な状況となっている。まあ、名鉄としても今さら豊川から先、さらに19キロものローカル線をわざわざ引き受ける(さらに言えばそれよりも先、他社が敷設した延々と続く営業状況の良くないローカル線も引き受けることが条件とされるならなおのこと)よりは、本線運用を我慢して行うほうが保守の簡略化をはじめとして、色々メリットはあるのかもしれないが、列車本数や速度に制限があり、足かせになっているのは間違いなく、特に顧客サービスという点では望ましい状況とは言えない。JR東海はある意味切り札として、自社にとって有利な状況となる現状を維持したいのは明白であるし、人口減少期に入り、少ないパイの奪い合いとなった現状では、なかなか難しい状況と言える。