再現されたブルートレインの機関車 付けられたHMは「富士」「さくら」 どんな列車だった?

大井川鐵道は自社の機関車の塗装を、寝台特急をけん引していた国鉄の電気機関車風に塗り替えました。そしてヘッドマーク「富士」を掲出。鉄道ファンから好評を博していますが、この「富士」とはどのような列車だったのでしょうか。

電車特急も存在した「富士」

「さくら」と同じく、「富士」の名称も戦後に復活しています。1961(昭和36)年から電車特急の列車名として使用され、東京~神戸・宇野間を結びました。宇野駅(岡山県玉野市)発着の列車は宇高航路と接続し、瀬戸内海を渡って四国方面とを連絡する使命もあったのです。

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東京都と神奈川県の境を流れる多摩川を渡る寝台特急「富士・はやぶさ」。2005年から引退まで、2列車は連結して運行された(画像:PIXTA)

 東海道新幹線が開業した1964(昭和39)年、電車の特急「富士」は廃止のうえ寝台特急となります。寝台特急「富士」は東京~大分間で運行され、翌年には西鹿児島(現在の鹿児島中央)駅まで延長されて、一時期は日本最長の寝台特急でした。

「富士」は1980(昭和55)年に東京~宮崎間に短縮されると、1990(平成2)年には1駅延長して東京~南宮崎間の運行となりましたが、1997(平成9)年に東京~大分間に短縮。2005(平成17)年からは東京~熊本間の寝台特急「はやぶさ」と連結して運行され、2009(平成21)年に廃止されました。

 3世代ある「富士」のうち、最も長かったのは寝台特急「富士」の時代です。

 今回、大井川鐵道が寝台特急風の塗装を再現した電気機関車のモデルはEF65形500番代で、1965年から1978(昭和53)年まで寝台特急「富士」「さくら」などをけん引していました。同社の所有する「富士」と「さくら」のヘッドマークは、どちらを取り付けても往年の寝台特急を再現することができるのです。

【懐かし写真】往年のブルートレイン「富士」「さくら」

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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