信号待ちで並ぶと肩身狭い? ブームに乗じた「和製ベスパ」たちが「カッコいいじゃん!」になるまで
スクーターの代名詞的な存在であり、世界中で愛されるベスパ。1990年代には日本でもベスパブームが巻き起こり、国内メーカーからも「和製ベスパ」ともいえるスクーターが登場しました。それらはどのようなスクーターで、現在はどうなったのでしょうか。
レッツのモッズモデル? スズキ「ヴェルデ」
リリース当初こそ「ベスパの模倣品」「和製ベスパ」と揶揄されることもあったホンダ・ジョルノが、その品質と使い勝手によって相応の支持を集めたことを受けてか、1998年にはスズキもベスパ風のスクーター「ヴェルデ」をリリースします。

1996年登場のスクーター「レッツ」シリーズのエンジンを採用し、性能・信頼性も評価され、やはりヒットに至ります。その結果、ホンダ・ジョルノ、スズキ・ヴェルデ、そして「ベスパ由来」とは言い切れないもののクラシカルなデザインを取り入れたヤマハ・ビーノ(1997年)の3モデルによって、日本のレトロ調スクーターが出揃いました。
結果的に「スクーター界のネオクラ」誕生!?
スズキ・ヴェルデは2004年モデルを最後に生産終了となりますが、前述の通り、ホンダ・ジョルノ、そしてヤマハ・ビーノは現在までロングセラーを続けており、これらによって「ネオクラシックスクーター」というカテゴリーが確立されたと言っていいでしょう。
当初は、ベスパのデザインをただ真似ただけのようにも見えたホンダ・ジョルノでしたが、その性能、使い勝手の良さがベスパファンではない別のユーザーに支持されたのです。原付の歴史を振り返った際、実に興味深い現象だったようにも感じます。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
コメント