「寝台バス」が寝台列車に“勝る”ポイントとは? 鉄道優勢かと思いきや“細かな面”でバス健闘
フルフラット座席「ソメイユプロフォン」を採用した夜行バスが注目を集めています。バスゆえの制約も感じられますが、同じ「宿泊する乗りもの」の寝台特急「サンライズ」と比較すると、様々な良さが見つけられました。
寝具は?→ソメイユプロフォンが勝る
ソメイユプロフォンがサンライズに大きく勝るのは、枕や寝台のクッション性です。ソメイユプロフォンには枕と毛布が備わり、寝台に分厚いクッションが敷かれていて、かなり快適な寝心地でした。

サンライズで最上ランクのA寝台個室「シングルデラックス」でも、寝台のクッション性と枕の質では勝負になりません。
ソメイユプロフォンのクッション性と対等な鉄道の寝台は、クルーズトレインを除くと、かつてのブルートレインなどに見られた開放A寝台の下段だけで、寝台特急用客車の最高峰である「カシオペアスイート」や「夢空間」の「エクセレントスイート」にも勝ると感じました。
アメニティは?→ソメイユプロフォンが充実
サンライズの付属アメニティは、シンプルです。A寝台個室「シングルデラックス」以外のB寝台個室は、枕、毛布、浴衣、シーツ、コップのみ。「ノビノビ座席」は、コップと毛布、枕カバーのみです。
ソメイユプロフォンは、枕、毛布、シーツ、アイマスク、耳栓、歯磨きセット、靴袋、スリッパ、フリーWi-Fiが提供されます。車内にトイレはあるものの洗面所はないため、歯磨きセットはサービスエリアなどでの休憩中に使うことになります。
アメニティではありませんが、サンライズには共用シャワーがあり、汗を流せればより快適に過ごせます。ただし「シングルデラックス」以外の利用でシャワーを使用するには、シャワーカードを購入する必要があり、特に下り列車では出発前にカードを求めて行列ができるのが難点です。
騒音・振動は?→サンライズが優勢
乗り心地は、サンライズの方が快適といえます。ソメイユプロフォンは、あくまでも一般の夜行バスに特殊座席を付けた車両です。ソメイユプロフォンの下段は、一般の夜行バスと同様の乗り心地で、上段は独特の横揺れを感じます。とはいえ、筆者はソメイユプロフォンの上段、下段ともによく眠れました。
総合的に見ればサンライズの方が快適ではありますが、ソメイユプロフォンに2度乗車して、その快適性には驚かされる部分も多くありました。将来的に1+1列配置の個室フルフラット座席のような豪華仕様の寝台バスの実現を期待せずにはいられません。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
コメント