いまだ実績ゼロ! 売れない“日の丸輸送機C-2” 尻目に快進撃の「ブラジル製輸送機」メーカーを直撃したら納得でした
日本製のC-2輸送機とブラジル製のKC-390輸送機は、生まれた時期が近しいジェット輸送機です。しかし、前者はいまだ輸出実績ゼロなのに対して、後者はすでに6か国に採用されています。なぜKC-390は売れているのか、開発元に聞きました。
民生品の導入によるコスト削減
KC-390とC-2の輸出の明暗が分かれたのには、確かな理由があります。開発元であるエンブラエル社の説明によれば、KC-390は当初から輸出で有利になるよう、さまざまな要素を設計に盛り込んでいたといいます。

特に注目すべきは、機体価格と運用コストを安くするためにCOTS(コッツ)コンポーネントを積極的に採用した点です。
COTSとは「コマーシャル・オフ・ザ・シェルフ(Commercial Off-The-Shelf)の頭文字を取った単語で、軍用装備品においては民間向けに販売されている既製品を採用することを指します。KC-390の構成パーツや技術の多くは、民間機向けに開発されたものを利用しています。
たとえば翼下に下げたエンジンは、エアバスA320やマクドネルダグラスMD-90といった旅客機に採用されたV2500を用いています。このエンジンは、生産数が7600基を超える傑作です。
民間で大量に使われているということは、エンジン自体が比較的安く入手できるのはもちろん、予備部品を入手するためのサプライチェーンも確立されているため、メンテナンス費用や運用全期間に掛かるライフサイクルコスト(LCC)を下げることができるというメリットがあります。
COTSコンポーネントを積極的に採用したことで、KC-390はコスト全般を抑えることができ、報道によればその機体価格はアメリカ製のC-130Jよりも2~3割安いとか。この点はメーカーであるエンブラエル社も「競争力のあるコスト」と認めています。
ほかにもKC-390が支持されている背景には、価格や性能以上に「明確な市場ニーズを想定した開発計画」が挙げられます。実はこの機体、計画当初より古くなったC-130「ハーキュリーズ」輸送機の更新需要を見越して開発されているのです。
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