「最新の巨大空母」が東京でなぜ“イベント会場”に? イギリス海軍が断行した艦上フォーラム」の効果とは? でも決して“快適な会場”じゃなかった!
イギリス空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が東京に寄港しました。国際イベント「太平洋未来フォーラム」が初めて軍艦で開催されたわけですが、今回、イギリスが空母を国際フォーラムの会場に使った意義を考えます。
これって「砲艦外交」なのか?
空母や戦艦など目立つ艦艇を各地に派遣し、国力を示す手法はかつて「砲艦外交」と呼ばれました。空母を舞台にしたフォーラム開催は協力と共演を演出する「21世紀型の砲艦外交」の一例として捉えることができそうです。
開会の挨拶でジュリア・ロングボトム駐日英国大使は、現在を「日英パートナーシップの黄金時代」と述べました。緊張する台湾情勢を含むアジア太平洋地域に対する欧州と日本の連携したプレゼンスという従来型「砲艦外交」の意味があることも明白です。
その一方、アメリカ海軍は横須賀基地の空母が接岸できる12号バースをプリンス・オブ・ウェールズに貸しだしたものの、フォーラムには出席しませんでした。ここにインド太平洋地域における国際関係の複雑さの一面が垣間見えます。
日本は、海上自衛隊がいずも型護衛艦を改修し、F-35B戦闘機を運用できる軽空母として活用しようとしています。もちろん防衛力強化が主眼ですが、外交ツールとしての可能性にも目を向けるべきでしょう。いずも型の「空母」というハードパワーとキャパを生かしたイベント会場というソフトパワーの演出ができれば、日本のプレゼンスを示せます。今回のプリンス・オブ・ウェールズの事例は、空母活用法を検討する上で参考になるはずです。
※一部修正しました(5日21時40分)。
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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