「女性向けの車」最近聞かなくなったワケ 成功したのは一握り? 今思うと“ユニークすぎる”装備も

日本車で「女性向け」をうたうモデルが昔からありました。かつてはユニークともいえる機能を詰め込んだ「女性向けモデル」も作られたものの、近年はあまり聞きません。何がどう変化したのでしょうか。

「2人乗りオープンスポーツ」の名作も女性向けだった!

 女性ドライバーも増加し、一般的になりつつあった1981年、トヨタは小型ハッチバックの「ターセル」と「コルサ」に、女性仕様車の「ソフィア」を追加。刺しゅう入りのシートや助手席バニティミラー、大型ドアポケットなどを装備していました。また、大衆車の「カローラ」や「スプリンター」にもそれぞれ「ライム」「リセ」などの女性向けグレードを設定し、女性シェアの拡大に取り組みました。

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1979年リリースの初代スズキ「アルト」は当初より女性ユーザーを強く意識して開発(松田義人撮影)

 さらに、女性ドライバーの増加が顕著だったのが軽自動車のマーケットです。三菱は1982年、軽2ボックスセダンの「ミニカ エコノ」に「マリエ」という女性向けグレードを設定。インテリアはベージュと紫がかったピンクを基調とした、専用のコーディネートとなっていました。マリエは好評を博したようで、1984年のフルモデルチェンジ以降も続投しています。

 一方、1979年に初代「アルト」をヒットさせ、多くの女性ユーザーを獲得したスズキも黙っていませんでした。1984年には、女性ユーザーの声をさらに強く反映した2代目アルトを発売します。この2代目アルトは、スカート姿の女性ドライバーが足を揃えたまま乗り降りできる「運転席回転シート」を初装備して話題に。またテレビCMに歌手の小林麻美を起用するとともに、彼女をモチーフにした特別仕様車「麻美スペシャル」もラインナップしました。

 こうした女性向けモデルは、あくまでも“扱いやすさ”を訴求したものでしたが、1980年代の終わりには、さらに進んだ考え方のクルマの企画も進行します。それは意外なことに、1989年登場のマツダ「ユーノス・ロードスター」でした。初代ロードスターの開発コンセプトは「アメリカの若い女性が通勤や買い物で使うコミューター」だったと言われています。

 当時の日本では考えられないことですが、実はアメリカでは1970年代より、トヨタ「セリカ」やマツダ「サバンナRX-7」など、日本ではスポーツカーと考えられていたモデルが若い女性に人気を博していました。ロードスター(アメリカでは「MX-5ミアータ」として展開)の企画は、こうしたニーズも念頭に置いたものだったのです。

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