ホンダ“名物バイク”の始祖!? 大戦中の「英折り畳みバイク」軽くするため諦めたものとは? 大阪で実車見てきました!

第二次大戦中、空挺部隊が戦場に降下した後の移動手段として各国で研究された小型バイク。イギリス軍によって実用化された折り畳み式のバイクは戦後に民間でも使われ、さらに日本ではあの小型バイク開発のヒントにもなりました。

戦場の足から戦後は民間バイクにも進化

 しかし、メリットばかりに思えたウェルバイクにも問題点もありました。それは空挺兵たちがパラシュート降下後に手際よくバイクの入った空中投下コンテナを見つけられないことがしばしば起こり、徒歩で任務を遂行しなければならない場合が間々あったからです。また、パワー不足気味のエンジンや小径タイヤのため、不整地の走行性能に限界があったとの報告も残っています。

Large 20250922 01

拡大画像

実物の空中投下コンテナに収納された状態のウェルバイク。容積に対して無駄なくコンパクトに折り畳まれた状態が良くわかる(吉川和篤撮影)。

 さらに大戦後期になると大規模な空挺作戦には大型グライダーが投入されるようになったことで、より大馬力でかつ大型の軍用バイクや、ジープすら空挺部隊向けに空輸できるようになりました。こうしたことを受け、ウェルバイクの出番は次第に限られていった結果、1943年6月以降の契約分はキャンセルされ、生産は終了しています。

 キャンセルされず軍に納入された後期生産分についても、あまり戦場で使われなかったようで、そうこうしているうちに大戦は終結。余剰となったウェルバイクは民間に放出されますが、その多くはアメリカに輸出されました。ただし前輪ブレーキがないため公道では原則使用できず、そのほとんどは農場やキャンプ場などでの構内移動用、またはレジャー用のアウトドアバイクとして用いられました。

 一方、ウェルバイクの考案者であるジョン・ドルフィン中佐は戦後、そのアイデアを発展させた小型バイクを開発するために軍を離れ、コーギー・モーターサイクル社を設立します。彼は、ウェルバイクの改良型である折り畳み式のコーギー・スクーターを開発。同車は1947年から1954年にかけて北米やイギリスなどで販売されて、約2万7050台が製造されています。

 ちなみに、このハンドル収納式折り畳みバイクの構造は、1967年に登場したホンダ「モンキー」や、1981年に登場したホンダ「モトコンポ」にも影響を与えたと言われます。こうして見ると、第二次大戦中にイギリスの地方で開発された軍用バイクの開発アイデアが、流れ流れて戦後に極東のバイクメーカーへと伝わったことは感慨深いと言えましょうか。

 ウェルバイクが日本で唯一保管されている「ミリタリーアンティークス大阪」では、6か月ごとに展示内容を入れ替えて貴重な英軍装備の公開日を設けています。第二次大戦中に開発された貴重なイギリス生まれの空挺バイクを見たければ、同館のホームページやSNSでの告知をチェックしてみてください。

【意外とオシャレ?】日本唯一の「ウェルバイク」跨ってみた(写真)

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス