高市新総裁の“尊敬する人物”の首相時代に実行された「正気とは思えない超長距離爆撃 」とは 英国執念の珍作戦
フォークランド紛争中、1982年5月1日から6月12日にかけて、イギリス空軍は常識では考えられないほど壮大な作戦「ブラック・バック作戦」を実行されました。
え、空中給油機に空中給油をして…ってなに!?
しかし、イギリス空軍は威信を賭け、とんでもない方法で遠く離れた空港への攻撃実現を目指しました。それは、アブロ「バルカン」爆撃機2機(うち1機は予備)と、計11機の「ヴィクター」空中給油機を使い、ポート・スタンリー空港を爆撃しようというものでした。

方法は、ポート・スタンリーまでの航路で「バルカン」に並走する「ヴィクター」から繰り返し空中給油を行うというものでした。しかし、給油機である「ヴィクター」も当然燃料を消費するため、「給油機を給油機で給油する」作業も並行して行われました。バルカンを目的地へ進める一方で、一部の「ヴィクター」はワイドアウェーク基地に戻って燃料を補給し、こうした給油と補給のリレーを繰り返してバルカンを爆撃させ、最終的にワイドアウェーク基地まで帰還させるという計画です。
イギリス軍は完璧な燃料計算と飛行プランにより、この作戦を複数回にわたって成功させました。しかも一度だけでなく、計7回実施しています。作戦中に撃墜や墜落で失った自軍機はなく、ポート・スタンリー空港にも軽微な損害を与えました。
アルゼンチンがフォークランド諸島を占領した理由の一つに、イギリス側に通常のジェット艦載機を運用できる空母がなかったため、空で優位が確保できると考えた、という説があります。アルゼンチン側も、まさかここまでして爆撃機を飛ばしてくるとは予想していなかったのではないでしょうか。なお、東西冷戦期に対ソ連用として配備されていたアブロ「バルカン」の実戦参加は、この作戦が唯一のものでした。
ちなみに、現在イギリス海軍が運用しているクイーン・エリザベス級空母は、艦載機として垂直短距離離着陸(STOVL)機のF‑35Bを運用しています。F‑35Bはシーハリアーと異なり固定翼機並みの性能(ステルス性・空戦能力)を発揮できるため、同様の状況になっても当時のような作戦が採られる可能性は低いでしょう。
Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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