伝説の超音速旅客機「コンコルド」意外なデビューなぜ? 「え!?アメリカ線じゃないの?」背景には納得の理由が

イギリスとフランスの共同開発による超音速旅客機「コンコルド」。実は初に飛んだのは旅客機市場として巨大なアメリカでなく、ロンドン~バーレーンならびに、パリ~ダカール~リオデジャネイロというやや意外な路線でした。なぜでしょうか。

「コンコルド」の課題はなんだったの?

「コンコルド」は就航時、フランスの閣僚から「技術的な勝利を意味し、商業的な戦いが始まった」と評されるほど、エンジンの排気ガスや大きな騒音、音速を突破する際に出る衝撃波が大きな問題となりセールスに苦戦していました。世界中の航空会社は発注に二の足を踏み、アメリカでも当時のニューヨーク州知事が乗り入れ禁止を表明するなどの対応を発表しています。

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フランス・トゥールーズに展示されている「コンコルド」(乗りものニュース編集部撮影)。

 日本でも同じで、羽田空港が目の前にある東京都の大田区長が運輸省(当時)へ文書で乗り入れないように申し入れたり、ロンドン―シンガポール線の開設についてマレーシアが上空通過を拒否したりしました。1972年6月に日本へ初飛来した時も、当時のジェット旅客機DC-8の騒音98ホンを上回る117ホンを離陸時に記録、羽田空港近くの川崎市では「ハトがびっくりして歩道橋の下に逃げ込んだ」と新聞記事になりました。騒音問題は容易に解決せず、座席の予約は売り切れ続出にもかかわらず、イギリスとフランスは1976年半ば、量産機は16機以上生産しないと合意してしまいました。

 それでも「コンコルド」は、イギリスとフランスの威信を示すがごとくアメリカのニューヨークやワシントン線で飛び続けましたが、2001年のアメリカ同時多発テロによる航空需要の低迷のあおりを受けて、2003年に退役しました。初就航を担った2機は現在、ブリティッシュ・エアウェイズ機がスコットランドで、エールフランス機はアメリカのスミソニアン航空宇宙博物館で展示されています。

「技術的に勝利し、商業的に成功しなかった」コンコルドですが、再び超音速旅客機の実現に向けてアメリカでブーム・テクノロジーが「オーバーチュア」の開発に挑んでいます。これを見ると、半世紀たっても「より速く飛ぶ」という人類の夢は潰えていないと言えます。

【写真】えっ…これが「コンコルド」驚愕の機内です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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