なぜ世界は「スーパーカブ」を愛するのか? 1億台生産された「最強の庶民バイク」開発思想にホンダの神髄を見た!
世界での生産累計1億1000万台以上という、前人未到の記録を持つ庶民のバイク、ホンダ「スーパーカブ」。なぜこれほどまで世界中で愛されているのでしょうか。その秘密は70年前の開発思想にありました。
すべては「そば屋の兄ちゃん」のために始まった
日本のどこにでもある風景。郵便配達員が坂道を駆け上がり、そば屋の店主がおかもちを揺らさず路地を抜ける。その傍らには、いつもホンダ「スーパーカブ」がありました。トトトト……、という独特のエンジン音は、多くの日本人にとって懐かしい記憶の一部でしょう。
スーパーカブの誕生は1958(昭和33)年です。戦後の復興期、創業者の本田宗一郎は「人々の生活に役立つ、手軽な移動手段を提供したい」と考えていました。欧州視察を経て、日本の道や生活に合った全く新しい乗り物を作る必要性を確信しました。
開発チームに示されたのは「そば屋の出前持ちが片手で運転できるバイク」という、具体的で大胆なコンセプトでした。
この思想は、スーパーカブのDNAを決定づけた「4つの条件」とも言うべき開発要件に結実します。
すなわち、
1、高出力で静粛性と燃費に優れた4ストロークエンジン
2、女性も乗り降りしやすい車体のサイズと形
3、ギア操作でクラッチレバーを必要としないシステム
4、先進的で親しみやすく飽きがこないデザイン
これらが元になっています。
上記の4要件を満たすため、スカートを履いていても乗り降りしやすい「低床バックボーンフレーム」や、左手のクラッチ操作を不要にした「自動遠心クラッチ」、足元を守る「レッグシールド」といった数々の革新的な技術が生み出されました。
こうした技術が、スーパーカブを万人の乗り物へと「民主化」したのです。





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