なぜ世界は「スーパーカブ」を愛するのか? 1億台生産された「最強の庶民バイク」開発思想にホンダの神髄を見た!

世界での生産累計1億1000万台以上という、前人未到の記録を持つ庶民のバイク、ホンダ「スーパーカブ」。なぜこれほどまで世界中で愛されているのでしょうか。その秘密は70年前の開発思想にありました。

「壊れない」伝説と世界への飛躍

 スーパーカブが世界で1億1000万台以上も生産され、愛される大きな理由。それはやはり「壊れない」という圧倒的な信頼性です。

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新基準原付、“新型”スーパーカブ110プロ Lite(画像:ホンダ)

 海外のテレビ番組で、エンジンオイルを天ぷら油で代用しても走ったり、ビルから落としてもエンジンがかかったりと、そのタフさを証明する逸話には事欠きません。

 初代スーパーカブは、当時主流の2ストロークではなく、あえて高コストな「空冷4ストロークエンジン」を採用。これは、オイル混合の手間や焼き付きリスク、騒音や白煙といった「使う人の負担」を排除するためでした。

 その「耐久性への執念」は現代のモデルにも受け継がれています。

 例えば、現行エンジンに採用された「スパイニースリーブ」技術は、シリンダー外壁に突起を設け放熱性と真円度を高めるもので、“見えない部分へのこだわり”の象徴です。

 そしてスーパーカブ最大の“発明”が「自動遠心クラッチ」。左手でのクラッチ操作を完全に不要にしました。まさに「そば屋の兄ちゃん」の現実に応えた技術です。

 この「徹底した実用本位」は国境を越えました。1963年のアメリカでは「You meet the nicest people on a Honda」キャンペーンを展開。バイクのアウトローなイメージを覆し、カブを一般市民の乗り物として定着させ、大ヒットしました。

 一方ベトナムでは、スーパーカブ・シリーズが人々の生活に欠かせない乗りものとなり、やがてベトナムの人々はメーカーを問わず、すべての二輪車を「ホンダ」と呼ぶようにまでなっています。

 アメリカでは「レジャー」の、ベトナムでは「生活」の象徴となったと言えるでしょう。

 スーパーカブは、もはや単なる工業製品ではありません。2014(平成26)年には、その形状自体が乗り物として日本で初めて「立体商標」に登録されました。形そのものがブランドであり、文化となったのです。

 ホンダが掲げる「人間尊重」「三つの喜び(買う・売ること・創造の喜び)」から成る基本理念にも通じるのが、使う人の立場に立った実用本位のものづくりです。スーパーカブは、その考え方を長年にわたって形にしてきた存在といえます。

【復刻すれば売れるかも?】これが元祖「スーパーカブ」です(写真で見る)

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