なぜ空母の甲板は2種類ある? 空母化した「かが」が米原子力空母と違う形の理由
世界各国の空母を見比べると「甲板の形」で2種類あるのに気づきます。米仏中の空母は左舷に斜めに張り出していますが、日本の「かが」は長方形のまま。なぜ、違う形なのでしょうか。そこには驚くべき空母の進化の歴史がありました。
アングルドデッキの生みの親はイギリス人!?
当時の艦上機はレシプロエンジンが1発で、かつ機体も比較的小型だったため、たとえ着艦フックで制動索を捉え損ねても、軽量なのでバリアーに突っ込ませれば止めることができました。また、発艦作業に専念する際には、バリアーを倒して飛行甲板の後半に発艦準備が整った機体を並べて順番に発艦させ、逆に着艦作業に専念する際には、飛行甲板の後半に着艦した機体を、前半に移してから格納庫甲板に収納するといった運用も可能でした。
しかし戦後、艦上機のジェット化が進むと、従来のストレートデッキでの運用には問題が出てきました。当時のジェットエンジンは、それまでのレシプロエンジンに比べてスロットルの応答が遅かったので、ウェーブ・オフ(着艦復航)となった場合に上昇が間にあわず、バリアーに突っ込む可能性がレシプロ機よりも高かったのです。
加えて、着艦速度が速いうえに機体重量も重いので、着艦に失敗した機体だけでなく飛行甲板上に並んだ他機や兵装類、支援車両や兵員なども巻き込み、事故を大きくする心配がありました。
こうした問題を解決しようと1952年、イギリス海軍のデニス・キャンベル大佐と王立航空研究所のルイス・ボディントン海軍航空部長は、空母「トライアンフ」の飛行甲板の艦尾側から左舷側の艦首のやや手前にかけて、斜めの着艦ラインをペイント。艦上機を飛行甲板に対して後方から斜めに着艦させる実験を行い、好結果を得ました。
これを受けて、アメリカ海軍が「エセックス」級空母の1隻である「アンティータム」を改造して実際にアングルドデッキを装着。実艦と実機による実験を実施し、その効果を証明したのです。
こうして、以後の空母では、アングルドデッキはなくてはならない装備となり、新造空母では標準となりました。





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