なぜ空母の甲板は2種類ある? 空母化した「かが」が米原子力空母と違う形の理由

世界各国の空母を見比べると「甲板の形」で2種類あるのに気づきます。米仏中の空母は左舷に斜めに張り出していますが、日本の「かが」は長方形のまま。なぜ、違う形なのでしょうか。そこには驚くべき空母の進化の歴史がありました。

空母化しても「かが」の飛行甲板が斜めにならない納得の理由

 では、なぜ昨今のイギリス空母、具体的には「クイーン・エリザベス」や「プリンス・オブ・ウェールズ」はアングルドデッキではなく、ストレートデッキなのでしょうか。それは両空母だけでなく、その前に建造されたインヴィンシブル級軽空母、さらにはイタリア空母の「カヴール」など含め、垂直・短距離離着陸を行うSTOVL機を運用するからです。

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イギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」。張り出しはあるものの、ストレートデッキだ(画像:イギリス海軍)

 STOVL機の代表的なモデルには「ハリアー」やF-35B「ライトニングII」がありますが、これらは着艦時は排気ノズルを下方に向け、垂直で降りてきます。よって、制動索やネットバリアー、さらには一定の距離の滑走スペースも必要ありません。

 そのため、わざわざ離陸用の甲板スペースとは別に、着艦用の甲板スペースを設ける必要がないことから、アングルドデッキとはなっていないのです。同様の理由でアメリカ海軍の強襲揚陸艦なども飛行甲板はストレートデッキです。

 海上自衛隊の「かが」も艦上機の主力はF-35Bです。ゆえに現在、改装中の「いずも」もストレートデッキ構造が踏襲されます。

 空母のアングルドデッキとストレートデッキの違い、それは搭載する艦上機が、着陸時に一定の滑走距離が必要な機体なのか否かで形状が異なる、そういうことになります。

【写真】「かが」はまっすぐ! 各国の空母の俯瞰写真を見比べ

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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