国鉄時代の電気機関車「完全引退」すでにカウントダウン!? 「新しい機関車で統一したい」 “最後の砦”になる路線とは?
国鉄形の電気機関車(EL)の引退が相次いでいます。その“最後の砦”となる路線では、現役を続行するものの、引退へのカウントダウンが始まっているようです。
特急も電車も国鉄形が消滅!?
EF64形が100%牽引している岡山貨物ターミナル―伯耆大山間の貨物列車が走る伯備線では、岡山と出雲市(島根県出雲市)をつなぐJR西日本の特急「やくも」が運行されています。
「やくも」では、国鉄時代に製造された特急形電車381系が最後まで残っていました。381系とEF64形、そして普通電車に使われる115系が長らく活躍する“国鉄形天国”の様相を呈し、沿線には大勢の撮り鉄が押しかけてきました。
しかし、381系は2024年6月15日に定期運行を終え、新型車両273系にバトンタッチしました。岡山地区の115系は新造された227系「Urara(うらら)」への置き換えが進み、2026年3月14日のダイヤ改正以降は伯備線内の運用区間も延長。伯備線から山陰本線に続く電化区間の末端である西出雲駅(島根県出雲市)まで乗り入れるようになります。
EF64形を巡っては、ダイヤ改正を機に中央西線の名古屋貨物ターミナルと南松本駅(長野県松本市)を結ぶ定期列車から退役します。老朽化が理由で、上越線で使われてきた直流電気機関車EH200形で置き換えます。
国鉄形「完全引退」カウントダウンは始まっている!
筆者はJR貨物に対し、2026年3月14日のダイヤ改正後も伯備線の岡山貨物ターミナル―伯耆大山間のEF64形を置き換えるのかどうかを訪ねました。その回答は「ダイヤ改正後も残ります」というものでした。
併せて、ダイヤ改正後は岡山貨物ターミナル―伯耆大山間が国鉄形ELによる定期列車が残る唯一の区間になることも判明しました。
他の国鉄形ELの定期列車が現役の区間では、中央西線の定期列車からEF64形が消滅するのに加え、越谷貨物ターミナル(埼玉県越谷市)―百済貨物ターミナル(大阪市)の定期列車で走ってきた直流ELのEF66形も「ダイヤ改正後は臨時列車用になる」(JR貨物)ためです。
すなわち、ダイヤ改正後は伯備線が、JR貨物の国鉄形ELが定期列車として走る文字通り“最後の砦”となります。ただ、いつまで頑張れるのでしょうか。
その点が気になった筆者は、マイカーの車検に当たる重要検査「全般検査」を通すのかどうかをJR貨物幹部に直撃したところ「EF64形を含めた国鉄形ELはいずれも全般検査は通さない」と明らかにしました。
その理由として「新しい機関車に比べると故障が多く、修理用の部品も調達しにくくなり、運転士養成を効率化するためにもJR貨物発足後の機関車に統一したいからだ」と説明しました。
引退へのカウントダウンが始まった感のある国鉄形EL。ますます貴重な存在として、「その日」が来るまでは温かく見守っていきたいと思います。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。





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