「白いロマンスカー」はなぜ短命だったのか 最も豪華&正統派もわずか17年で引退 「究極」ゆえの代償
小田急電鉄の50000形電車「VSE」は、連接構造、前面展望席、軽食・飲料のシートサービスなど、特急ロマンスカーの伝統的な要素を全て盛り込んだ車両でした。惜しまれつつ引退した名車について振り返ってみましょう。
過去にないデザインと技術を採用
そして「究極のロマンスカー」を実現すべく、長年開発してきた空気ばねによる車体傾斜制御と操舵台車を組み合わせ(連接車では世界初)、乗り心地の改善に取り組みました。これにより、曲線走行時の遠心力を示す左右定常加速度は、従来車の0.08Gから0.046Gまで減少しています。
外観は、床下をスカートで覆いスマートなシルエットとしています。丸みのある車体にパール系のシルキーホワイトで塗装し、見る角度と光の反射で印象が異なる工夫がなされました。
ほかにも今までにないものがありました。歴代ロマンスカーは展望席の窓に曲面ガラスを採用し、左右に窓が流れる形状でしたが、新型車両は前面のみの巨大な1枚ガラスとしました。
筆者(安藤昌季:乗りものライター)が展望席最前列に乗車した感想としては、中央通路側の座席だと視界が全て景色に感じられるワイドさがありました。一方、端(窓側)の座席だと支柱が視野に入るデメリットもあるため、悩ましい選択と感じました。展望席の座席の前後間隔は1150mmで、新幹線のグリーン車並みでした。
展望席以外も斬新でした。中間車の座席間隔1050mmは、歴代ロマンスカーの普通席で最大。リクライニング角度が大きく、シートのクッション性も優れています。また、窓に向かって5度の角度が付けられており、長さ4mの連続窓の採用もあいまって、とても景色が見やすい設計です。カーテンも、ロールタイプではなく、ごく細いワイヤーを引いて展開する形状なので、視界の妨げはほぼありませんでした。
天井はアーチ状に丸みを帯びていました。「ヴォールト」というこの形状にちなんで、新型車両は「Vault Super Express」を略した「VSE」と命名されています。
半個室のグループ区画「サルーン」も3区画設けられました。大型テーブルを設けたボックス席です。座席の横幅はやや狭いものの、ガラスで仕切られた落ち着いた空間で人気がありました。
公平に見て2026年現在も、2階建て車両にスーパーシートを備えた20000形電車「RSE」と並び、最も豪華なロマンスカーの一つです。高品質なデザインが評価され、グッドデザイン賞、ブルーリボン賞、照明普及賞優秀施設賞といった国内の賞だけでなく、アジアデザイン大賞、ドイツのiFデザイン賞も受賞しています。
サービス面でも力を入れていました。3号車と8号車の「ロマンスカーカフェ」では、「走る喫茶室」と呼ばれるシートデリバリーサービスをVSE限定で復活させました。運行開始当初から「銀座大増」の予約制高級弁当や温かい味噌汁が提供されるなど、かなり本格的な供食サービスでした。
乗務員はVSE向けに選抜し、おもてなしの教育が行われたほか、専用の制服を身につけていました。





白いロマンスカーは多摩川から西の地域の風景には馴染まなかった…
新幹線では無いのだから、最高速度を求めるデザインよりもどこかノスタルジックであの丸く、真ん中に寄った前照灯のデザインが地域に馴染む。
箱根の電車のイメージは登山鉄道…“江ノ電”を見れば判るが観光地へ向かう列車に求めるものは旅行の気分を爆あげする“ブサカワ”。フロントデザインが丸く前照灯が車体中央部に寄っている昭和40年代のデザイン。