米海軍の原潜が敵艦を撃沈! 実は史上2例目だった“真珠湾を生き延びた歴戦の艦”その壮絶な最期とは

2026年3月4日、インド洋を航行中のイラン海軍フリゲート「デナ」が、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦によって撃沈されました。原子力潜水艦が敵艦を撃沈した例は、「デナ」以前には1例しかありません。

最重要ターゲットだった「ヘネラル・ベルグラノ」

 イギリスがアルゼンチン軍に反撃を加えると決断した際、戦略的脅威の排除や敵の士気低下の観点から、最も重要な海上ターゲットとされていたのが、アルゼンチン海軍の空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」と、旧式の軽巡洋艦「ヘネラル・ベルグラノ」でした。同艦は、もともと第二次世界大戦中にアメリカ海軍の軽巡洋艦「フェニックス」として戦いに参加し、日本の真珠湾攻撃を経験したこともある艦でした。

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デヴォンポート海軍基地に係留されるコンカラー(画像:パブリックドメイン)

「ベインティシンコ・デ・マヨ」は空母として固定翼艦載機の運用能力を持ち、「ヘネラル・ベルグラノ」はアルゼンチンが購入後、近代化改修を行い、強力な対艦ミサイル「エグゾセ」と、地上への艦砲射撃に適した第二次大戦型の47口径15.3cm三連装砲を備えていました。この2隻が自由に動くことができれば、フォークランド諸島周辺で作戦行動を行うイギリス海軍や、反攻上陸を計画するイギリス陸軍にとって大きな脅威となることは確実でした。

 捕捉された際、「ヘネラル・ベルグラノ」は海上排他水域には入っていませんでしたが、前述した重要ターゲットの1隻であったことから、「コンカラー」は本艦を攻撃するか否かについてイギリス本国に確認します。最終的にサッチャー首相の交戦許可が下り、戦闘配備に移行しました。なお、この間「ヘネラル・ベルグラノ」は「コンカラー」の接近に全く気付いておらず、格好の攻撃位置である艦首左前方に回り込まれていました。

 攻撃が可能な位置まで接近した「コンカラー」は、無誘導式の旧式魚雷である21インチ・マーク8魚雷3発を発射します。同艦は誘導式魚雷のマーク24タイガーフィッシュも装備していましたが、信頼性を考慮して旧式魚雷が選択されました。

 3本の魚雷のうち1本が、艦首から10~15m後方に命中しました。着弾後、同艦の艦首は吹き飛ばされました。ここは魚雷着弾時に保護されている区域の外側であり、大きく損傷しました。そして間もなく2本目が左舷後方に命中し、後部機械室に損害を与えます。2本目の命中位置は乗組員が多くいた区画にも近く、多くの死傷者が出ました。また、戦闘配備中にもかかわらず防水扉を開けたまま航行していたとも言われており、深刻な浸水を引き起こすことになります。

 直撃した2本の魚雷により、航行どころか浸水の処理も不可能になった同艦では、被弾から20分後に総員退艦命令が出され、ゴムボートが展開されて退避が開始されました。退避した乗組員はアルゼンチン海軍の残存艦のほか、周辺を航行していたチリ海軍によって救助されました。この攻撃により、乗員321名と乗艦していた民間人2名が死亡しました。

 「ヘネラル・ベルグラノ」の撃沈を受け、空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」は後方へ下げられました。以降、アルゼンチンのすべての航空機は航続距離の限界にある陸上基地から運用せざるを得なくなり、フォークランド諸島周辺での航空優位はイギリス軍が握ることになります。

 なお、この攻撃は第二次大戦型の無誘導魚雷によって行われました。そのため、イラン海軍の「デナ」は、原子力潜水艦によって史上初めて誘導魚雷で沈められた艦となります。ちなみに誘導魚雷自体は第二次世界大戦後期からドイツ海軍やアメリカ海軍の潜水艦で運用実績があり、撃沈の記録なども残っています。

【画像】あっけない撃沈…これが沈む直前に「ヘネラル・ベルグラノ」です

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