操縦席が消えた「顔なしヘリ」間もなく初飛行!? 無人版「ブラックホーク」の異形すぎる姿と驚きの新構造

シコルスキーが発表した完全無人ヘリコプター「U-HAWK」は、コックピットを丸ごと撤去し、機首から車両も積めるようにした驚愕のスタイルです。タブレットで自律飛行する異形の次世代ヘリ、その全貌と合理的な開発背景に迫ります。

タブレットで簡単操縦! 既存機を「低コストで無人化」する驚異のシステム

 この種の自律飛行技術はすでに試験段階を越え、実機によるデモンストレーションも重ねられています。特にシコルスキーが開発した「ALIAS(Aircrew Labor In-Cockpit Automation System)」と呼ばれる自動操縦システムは、既存のヘリコプターに後付け可能なモジュールとして開発され、すでに飛行試験まで進んでいます。U-HAWKは、こうした技術の延長線上にある存在と言えるでしょう。

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ALIASプログラムによって改修を受けたUH-60ブラックホーク。パイロット無しで飛行試験を行っている(画像:DARPA)。

 興味深いのは、このコンセプトが完全な新造機ではなく、既存の「ブラックホーク」に対する改修として実現可能である点です。世界各国で数千機が運用されている「ブラックホーク」ファミリーは、アメリカ軍だけでも膨大な機数を抱えています。もし既存の生産ラインを比較的簡便な改修で無人機化できるのであれば、その戦略的な意義は極めて大きいでしょう。

 改修コストは公表されていないものの、シコルスキー関係者は「比較的低コストで実現可能」であると示唆しています。完全な新型機を開発するのに比べれば、既存の機体構造、エンジン、ローター系統を流用できることは大きな利点であり、軍事予算の制約を受ける現代の防衛計画においては魅力的な選択肢となり得ます。

 無人化された「ブラックホーク」がもたらす戦術的利点は明白です。最も重要なのは、危険地域への物資輸送や補給任務において人命リスクを排除できる点です。前線近くの補給拠点や、敵の防空火器が存在する地域への飛行は、従来ならば熟練パイロットに大きな負担を強いる任務でした。しかし無人機であれば、最悪の場合機体を失っても人的損失は発生しません。

 また、長時間の待機飛行や繰り返しの補給任務といった単調な作業も、自律システムにとってはむしろ得意分野です。将来的には有人機と無人機が混在する「有人・無人チーミング」の一環として、U-HAWKが兵站輸送や前線補給を担う構想も十分に考えられます。

 シコルスキーによれば、U-HAWKは2026年の初飛行を目標に開発中とのこと。もし計画通りに実証が進めば、「ブラックホーク」という半世紀近い歴史を持つ名機は、新たな時代の航空機へと生まれ変わることになるでしょう。

【写真】無人ヘリ「U-HAWK」閉じた姿や機内をイッキ見!

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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