旧陸軍の「万能貨車」を海外で発見! ナゾの姿に改造も現地職員は「分からない」 泰緬鉄道に関連か
旧日本陸軍鉄道連隊には様々な専用車両が存在していました。平台車形状の九一式と九七式貨車は戦地でよく使われましたが、一部は今も海外の地で眠っています。
軌間が変えられる「マルチな貨車」
九七式貨車は皇紀2597年=1937(昭和12)年に制式採用された車両です。九一式の車体を強化したマイナーチェンジ車であり、車軸のボールベアリング構造や全体的な車体構造は踏襲されました。
双方を比較すると、全長は九一式6760mm、九七式7300mm。全幅は九一式1940mm、九七式2500mm。全高は九一式1675mm、九七式1700mm。というわけで、車体は九七式のほうが若干大きいです。外観上の相違点はわずかであり、連結面の台枠の“丈”は九七式のほうが広く、九一式の台枠がボルトとリベットの混在、九七式の台枠はリベット打ちのみです。
九一式は台車を2台使用した無蓋貨車時の物資搭載量が5tであるのに対し、九七式は8tと、改良によって搭載量が増強されました。なお、対応可能な軌間は双方とも同じで、1067mm、1435mm、1524mmを基本とし、東南アジア地域はメーターゲージのため、1000mmにも対応しました。
この台車がなぜ現在のマッカサン工場に存在するのか、現場の方々は存じずに謎のままですが、タイでは戦時中にビルマ(ミャンマー)とを結んだ泰緬鉄道(泰緬連接鉄道)が日本陸軍によって建設され、多くの九一式と九七式貨車が導入されたので、戦後に巡り巡ってマッカサン工場へやって来たのかもしれません。
九一式と九七式は共通で運用され、鉄道牽引車に牽引されたり、牽引車の車軸として改造されたりと、作戦地域で様々な用途に使われました。旧泰緬鉄道、現ナムトック線のクウェー川駅前には一〇〇式鉄道牽引車と九七式貨車が展示されています。旋回用のアダプターを溶接された九七式貨車が、鉄道牽引車の前輪部に接続されている姿です。
海外に残された九一式と九七式貨車は、今も多くの国で眠っていると思います。似たような寸法の台車を見つけたときは、軸受け部と車軸を観察することをお勧めします。まだまだ意外な場所で発見されるかもしれません。
Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。





九一式は三岐鉄道三岐線の丹生川駅そば、貨物鉄道博物館にその姿がありますね。