海自のベテラン曹長が安定を捨て幹部を目指した理由とは 裏には“超シビア”な「お金の事情」が

海上自衛隊の叩き上げ幹部ルート「C幹」。あえて過酷な道を“熱望”した夫の切実なお財布事情と、希望が通らない海自特有の「ドナドナ人事」の実態を、自衛官の妻が赤裸々に綴ります。

江田島での猛勉強は終わらない! 「C幹」の過酷さと魅力

 ところが、初年度はまさかの不合格。なり手が少ないはずなのに、そのルートで落ちることがあるなんて、ちょっと驚きでした。

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海上自衛隊の練習艦「かしま」(左手前)と「しまかぜ」(右奥)(画像:海上自衛隊)

 しかし、やこさんはどこ吹く風。理由を聞いてみると、「熱望」している人は次回もまた「熱望」を出してくるだろうという前提で、まずは急遽充足させないといけない部署の幹部から埋めていくことがあるのだとか。つまり、「今のポジションから動きたくない!」と思っているベテラン隊員が、人員不足のために泣く泣く幹部コースへ“ドナドナ”されていくケースがあるんですね。希望とは裏腹に、なかなか容赦ない人事です。

 そんな事情もあり、やこさんは2年目の「熱望」でようやく合格。ここからおよそ4か月、広島県江田島市の幹部候補生学校へ入校し、厳しい訓練を経たらいよいよ幹部への道が開けます。

 余談ですが、ここで幹部になれても、階級が上がるにつれ1尉からは「海技士」の資格を持っていないと艦艇への配置が行われないため、艦艇に乗り続けたいなら海技試験は必須。C幹になれたからといってずっと艦艇に乗れるわけではなく、必要に応じて再び江田島でみっちり勉強して試験に臨むのです。幹部になると、次から次へとやるべきことに追われて忙しい印象です。

 しかし順調にいけば、最終的に佐官クラスまで昇進する可能性も。叩き上げから佐官へ……これはなかなか夢のある話です。

 C幹を選ぶ理由は人それぞれ。上からの打診でやむなく、というケースもあれば、純粋に収入アップを狙っていく人もいます。

 大変なのは間違いありませんが、そのぶん得られるものも大きいC幹という道。人生の後半であえて舵を切るその決断を、家族としても全力で応援しています。

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Writer:

漫画家・デザイナー。夫のやこさん、娘のみーちゃんと暮らすのんきなオタク。海自にはまってからあれよあれよと人生が変わってしまった。著書「海自オタがうっかり『中の人』と結婚した件。(秀和システム)」「北海道民のオキテ(KADOKAWA中経出版)」各シリーズ発売中。

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