自衛隊が「南極観測」から撤退へ!「しらせ」「専用ヘリ」共に退役で極地輸送は大丈夫? 新体制への課題とは

日本の南極観測を支えてきた海上自衛隊が、砕氷艦「しらせ」の退役を機に運用から撤退する方針を固めました。後継船はJAMSTEC、ヘリは極地研(NIPR)へと移管される新体制の全貌と、立ちはだかる輸送力低下の課題を解説します。

新体制への移行と、ヘリコプター「小型化」の壁

 まず「しらせ」後継船に関しては、地球深部探査船「ちきゅう」や海底広域研究船「かいめい」などを運用するJAMSTECが保有することになります。JAMSTECは2026年11月から、砕氷機能を持つ北極域研究船「みらいII」(1万3000総トン)の運用を始める予定で、今後は分厚い氷が張った氷海域での航行ノウハウを積み重ねていくことになります。

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JMU横浜事業所磯子工場で建造中の北極域研究船「みらいII」(2025年3月20日、深水千翔撮影)

 運航主体の変更による急激なリスクを回避するため、海上自衛隊は完全な撤退ではなく、新体制へのシームレスな移行を支援します。具体的には、氷海航行の経験と高度な知見を有する自衛隊員を後継船に一定期間同乗させるほか、昭和基地周辺での荷役作業のために約30人の自衛隊員を継続して派遣する予定です。さらに、建造に関する技術知見の提供や、横須賀基地内の岸壁手配といったロジスティクス面での協力も行う方針が示されています 。

 もう1つの課題は、NIPRが運用主体となるヘリの運用です。現在用いられているCH-101は、厳しい極地環境でも余裕のあるペイロード(積載量)を活かした優れた空輸能力を提供してきました。しかし、製造会社によるCH-101現行モデルの部品サポートは、2032年度末頃に終了する見込みとなっており、後継船が就役する2034年よりも前に維持が困難になる可能性があります。

 また、CH-101の運用維持に必要な部品は、主にイギリスやEU(欧州連合)を中心とする外国メーカーからの輸入に依存しています。昨今の急激な物価高騰や円安の影響などによる著しいコスト上昇が直撃しており、維持費用が跳ね上がっているのが現状です。

 加えて機体の使用年数が重なるにつれ、腐食や不具合箇所が増え、定期修理の工期が長期化しています。工期遅延によって急きょ「しらせ」に搭載し南極へ持っていく機数を2機から1機へ減らさざるを得ない事態も発生しており、安定的な運用ができなくなりつつあります。

【注目ポイント!】これが「しらせ」の艦内です(写真で見る)

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