自衛隊が「南極観測」から撤退へ!「しらせ」「専用ヘリ」共に退役で極地輸送は大丈夫? 新体制への課題とは

日本の南極観測を支えてきた海上自衛隊が、砕氷艦「しらせ」の退役を機に運用から撤退する方針を固めました。後継船はJAMSTEC、ヘリは極地研(NIPR)へと移管される新体制の全貌と、立ちはだかる輸送力低下の課題を解説します。

新型砕氷船の運航は民間委託へ 準備は待ったなしの段階

 また、不測の事態における救難体制の責任区分を明確にするという点でも重要なことです。たとえば船内で使用するフォークリフトに関して、船の設備として用意するかという点についても、検討していく課題として上げられています。

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海上自衛隊が初めて運用した砕氷艦「ふじ」。名古屋港ガーデンふ頭に保存展示されている(深水千翔撮影)

 特に、民間チャーターヘリを毎年入札によって確保する場合、運航会社が固定されず、毎年異なるノウハウでの連携を強いられる可能性もあり、現場の安全管理には極めて緻密なガバナンスが求められるでしょう。

 新造船は現時点で具体的なスペックは出ていませんが、昭和基地への接岸を前提としていることから、「しらせ」と同じ国際船級協会連合(IACS)の極地氷海船階級(ポーラークラス)2相当の砕氷能力を持つことが想定されます。船体サイズについても海上自衛隊員30人と観測隊員80人が乗船したうえで物資輸送も担うため、既存船とほぼ同じ規模になるとみられます。

 船の運航は他の研究船と同様にJAMSTECが直接行うのではなく、民間の船会社が手掛けることになります。そのためJAMSTECは建造事業者と共に、早めに運航予定者を決め、「しらせ」に乗船させて氷海でのラミング航行を経験させることを求めています。

実際、北極域研究船「みらいII」は大手船社の商船三井が、建造監理から艤装員派遣、運航支援、観測支援まで幅広い業務を行っています。

 こうしたことを鑑みると、じつは「しらせ」とCH-101の後継準備にはあまり時間がありません。南極観測は1956(昭和31)年から継続的に行われている国の事業です。海上保安庁が初代の南極観測船「宗谷」でサポートし始めてからすでに70年。連綿と行われてきた歴史ある国家事業を将来も継続して実施するために、皆で知恵とお金を出し合うことが求められています。

【注目ポイント!】これが「しらせ」の艦内です(写真で見る)

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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