「なぜ“失敗作”を…?」幻の国産旅客機MSJ、あえて展示する“真の狙い”とは!? 「日本の翼」開発史を繋ぐ“一手”に?
愛知県の「あいち航空ミュージアム」が、国産旅客機「三菱スペースジェット」の展示準備のため休館に入りました。開発が頓挫した“悲運の旅客機”をあえて展示する狙いはどこにあるのでしょうか。
ライバル機にするはずだった機体と比べることも
愛知県の回答にあるように、スペースジェットの展示は「挑戦の歴史」を見せることでしょう。同時に、近年注目されている「失敗の教訓」もリアルに見せるからこそ、意義があると筆者は考えます。
計画失敗の理由は、当時の新聞やテレビのニュースに加えて今もインターネットで様々な話を読むことができます。これらの評価や分析、口コミが、実際にスペースジェットを間近で見ることで、その真偽や、国家プロジェクトともいえる大がかりな計画において不可欠な要素を深く考えることができるでしょう。
スペースジェットの姿からは、ライバル機で、こちらは商業的に成功作となったブラジル製の旅客機エンブラエル「E-jet」シリーズと比較し、さまざまな空想を働かせることも可能です。スペースジェットはスリムで美しい姿をしていると筆者は考えています。これは胴体がほぼ真円に近いためですが、エンブラエル製のリージョナル旅客機は上下に円を重ねたダブルバブル構造で、こちらは胴体の短いバージョンでは、ややスマートさに欠けていると筆者は考えています。
しかし、どちらも旅客機として客室の快適性の確保や効率的な経済性を狙って設計されました。エンブラエルのダブルバブル構造は客室面積の拡大などを念頭においたもので、ユーザー目線では快適性向上の一助になっているためです。
果たしてスペースジェットとエンブラエルの旅客機はどちらが優れていたか。商業的な勝敗は明らかですが、これも実際に機体を間近で見ることにより、これまで見えなかったポイントが明らかになるかもしれません。
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。





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