「平塚まで禁煙」ってどういうこと? 男性喫煙率83%で駅も車内も「モクモク」 別世界だった昭和の鉄道
昭和の列車はたばこを吸えました。旧型車両の窓下には灰皿があり、撤去後も取り付けねじのネジの跡があります。しかし今は駅構内も含めてほとんど禁煙。車内禁煙の理由は混雑だけではありませんでした。喫煙者の肩身が狭くなるばかりです。
今も残る「喫煙車」はあの人気列車
1987(昭和62)年に国鉄が分割民営化してJRグループが発足すると、分煙・禁煙施策が進みます。ちなみにこの年の喫煙率は男性が約61.6%、女性が約13.4%でした。当時は航空機がまだ喫煙可能、高速バスは禁煙化が進んでいました。これらに対抗する意味でも、禁煙車の増加はサービス向上になるという判断です。
2003(平成15)年に健康増進法が施行され、第一条で「国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図る」と定義され、食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康維持について、国民、国、地方公共団体、健康増進事業実施者の責務が定められました。このなかで、公共施設や飲食店などにおける受動喫煙の防止も求められました。
2007(平成19)年、JR九州が「分煙」から「禁煙」に方針を転換し、トイレ・デッキを含めた全車禁煙の列車を増やします。この動きに他のJR各社も追随します。駅の禁煙と密閉された喫煙ルームの設置、全列車の禁煙化が進みます。ビジネス客が多い東海道・山陽新幹線は喫煙ルームが設置され、それ以外の場所は禁煙になりました。この喫煙ルームも2024年に廃止され、有料のビジネスブースに転換されています。
個室中心のクルーズトレイン「ななつ星in九州」は全車両禁煙です。JR九州の「列車内と在来線の駅はすべて禁煙」のルールが適用されるためです。喫煙希望者には長時間停車する駅の屋外喫煙所が案内されます。個室は他人に受動喫煙させないため、喫煙可能でも良いと思われます。しかし、「トワイライトエクスプレス瑞風」と「TRAIN SUITE 四季島」はラウンジカーに喫煙ブースが設置されています。個室に臭いが付かないようにという配慮でしょう。
現在、JRグループで喫煙可能な列車は寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」のみとなりました。6号車と13号車が全室喫煙可能です。B個室シングルとB個室シングルツインがあります。4号車と11号車はシングルデラックス6室のうち3室、サンライズツインの4室のうち2室が喫煙可能です。
ところで、個室といえば、10月から東海道・山陽新幹線のN700Sで個室「Supreme Class(スプリームクラス)」が提供されます。個室は誰にも迷惑をかけない、誰にも邪魔されない空間です。鉄道車両の換気性能は向上しているので、電子たばこくらいは認めて良いような気もしますが、この個室を含め全面禁煙は変わらないようです。
Writer: 杉山淳一(鉄道ライター)
乗り鉄。書き鉄。ゲーム鉄。某出版社でゲーム雑誌の広告営業職を経て独立。PCカタログ制作、PC関連雑誌デスクを経験したのち、ネットメディアなどで鉄道関係のニュース、コラムを執筆。国内の鉄道路線踏破率は93パーセント。著書に『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。日本全国列車旅、達人のとっておき33選』(幻冬舎刊)など。





コメント