無料で見学できる元「軍人の慰安所」に行ってみた 堂々公開の“赤裸々な歴史”

1949年から長らく中国大陸と戦いが続いた金門。台湾と同じく中華民国が実行支配する諸島で、実は約50年もの間、中華民国・国防部公式の従軍慰安所が設置されていました。その赤裸々な歴史はいま、誰でも見られる形で「公開」されています。

「特約茶室」での恋愛模様が2014年に映画化

 一方、利用する軍人にも規則がありました。その内容とは、「軍人証明書を提示する」「武器を所持しない」「慰安婦に軍事機密を漏らさない」「一回の利用時間は30分」といったもので、違反すれば当然軍法にかけられ、厳しく罰せられたそうです。

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「特約茶室展示館」入り口に掲げられた「服務三軍」の文字。これは「陸軍・海軍・空軍(三軍)に奉仕する」という意味(2026年、松田義人撮影)

 また、時代や軍人の階級で入場料金も異なっていたそうで、1951年当時は「軍人=15元」「兵隊=10元」だったと言われています。これが38年後の1989年になると「軍人=250元」「兵隊=150元」と値上がりしたそうです。

 これら「特約茶室」は、あくまでも軍人の性的欲求を発散させるものでしたが、何度も通い続けるうちに慰安婦と懇意となり、恋愛へと発展するケースも少なくなかったといいます。こういった悲しく複雑な恋愛模様を描いたのが、2014年公開の台湾映画『軍中楽園』でした。

 個々に異なる事情を抱えた軍人たちと、さまざまな事情から春をひさぐ慰安婦たちの、悲しく残酷な現実を描いた映画で、商業的な成功には至らなかったものの、数々の賞を受賞するなど、映画ファンの間では非常に高い評価を得た作品でした。

 約50年間も続いた「特約茶室」ですが、営業停止から10年にも満たない2010年より一部リノベーションされ、史実を伝える「特約茶室展示館」として開館しました。この展示館は、無料で見学することができます。

 施設の真ん中には広々とした中庭があり、その周囲に複数の部屋があります。この各部屋で「接待」が行われていましたが、実際に部屋の内部を目にすると、当時の慰安婦の悲しく切ない生活環境、スタッフの日常などをうかがい知ることができました。

 日本政府は終戦から1990年代に入るまで、かつて日本軍が開設した各地の従軍慰安所について軍の関与を公式に認めませんでした。一方、中華民国・国防部は、「誤った過去を正しそれ自体を隠蔽せず、反省し続ける」意味でも、この「特約茶室展示館」を残し、一般に開放しているのかもしれません。

【当時の女性の写真も】これが「特約茶室」の様子です(写真)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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