「このクルマ、36か月で作りました!」 新車の開発「もっと早くします」宣言が続々 どうやって可能に?

自動車メーカー各社が、新車開発の期間短縮とコスト削減を相次いで打ち出しています。昨今、自動車のメカニズムや装備は高度化の一途を辿っていますが、実際にこうした劇的な時短化や低コスト化は実現可能なのでしょうか。

AIで「試作」も「試験」も激変?

 では、これらのデジタル技術は実際の開発現場でどのように活用されているのでしょうか。活用範囲は非常に幅広く、多岐にわたります。

Large 20260714 01

拡大画像

三菱も2026年秋に新型「パジェロ」の発表を目指す(画像:三菱)

 例えば、試作や試験の業務プロセスは大きく変わり始めています。部品を実際に試作して現物で試験するという行程は、これまでもコンピューター上でのシミュレーションへ置き換えられてきました。しかし昨今は試作品の設計データをクラウド上で管理し、AIが解析や改良を行うのが一般化しつつあります。膨大な試験データを分析するのもAIの得意分野ですから、より詳細かつ多くの試験が可能になったのです。

 また、AIは商品企画の業務効率化でも大きく貢献しており、これも開発期間の短縮につながっています。さらに試作段階やマイナーチェンジの際には、デザイン変更にあわせて周辺の細かい部品を再設計する必要がありますが、この作業もAIがあればより簡単になります。

 このように、クラウドやAIの最新技術は実際の現場レベルまですでに浸透しています。日産のイヴァン・エスピノーサCEOも、さまざまな場面で「AIを活用する」と説明しています。またホンダや三菱も、デジタル化とAIの活用を進めることを中期経営計画に明記しているほか、自動車メーカーに開発ツールを提供するAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)も、自動車開発用のサービスにAIを活用していると公表しています。

 振り返れば私たちの身の回りでも、AIに質問することはここ2~3年でまったく珍しくなくなりました。自動車開発の現場では、さらにその先を行く活用が進んでいると言えるでしょう。つまり、この急激な開発の時短化と低コスト化は自動車の分野に限った特別な進化ではありません。技術革新による世の中全体の変化が、そのまま自動車開発の現場にも波及しているのです。

【正式発表へ急ピッチ!?】ホンダの「新型ハイブリッド車」を写真で見る

Writer:

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。著書「自動車ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)

最新記事

コメント