難敵は「カレーうどん」!?海上自衛隊“白い夏制服”が抱えた宿命 2020年にベージュ制服が誕生しても白を着る人が多い理由とは
夏場の海上自衛隊といえば、日本海軍時代の伝統を受け継ぐ真っ白い詰襟やセーラーカラーの夏制服がとても目を引きます。ただ、その制服を汚さず真っ白に保って生活するのは至難の業だそう。そこで2020年に新たに制定された制服があります、ベージュの第2種夏制服です。
新夏服は汚れが目立ちにくい! しかし…
特に食事は大きな難関です。カレーうどんやナポリタンは一般の洋食店や喫茶店でも定番の人気メニューですが、海上自衛隊の食事(艦めし)でもおなじみです。
自衛官に話を聞くと、夏場の食事の時間は、ある意味で緊張感に包まれるといいます。自分がこぼして制服を汚してしまうだけでなく、隣の人の汁が飛んでくる可能性もあるため、気が抜けないそうです。
もし一瞬の油断でシミを付けてしまっても、任務中であればすぐに洗濯することはできません。水で軽くもみ洗いするなどの応急処置を施し、できるだけ早く洗濯するしかないといいます。
毎日の汗ジミも厄介です。襟元や袖口は、どれだけ気を使っていても時間とともに汚れが目立ってきます。そのため、これらの部分にベビーパウダーをはたき込むことで、汗ジミの付着を少しでも防いでいるそうです。ベビーパウダーの粒子が汚れの付着を抑えてくれるとされ、この方法は日頃ワイシャツを着る会社員にも参考になるかもしれません。
近年は女性自衛官も増えていますが、白い制服は特に気を遣うといいます。下着が透けないよう配慮する必要もあります。
海上自衛隊の誇りである一方、悩みの種でもあった真っ白な夏制服ですが、2020年に大きな転機を迎えます。それが、新たに導入されたベージュ色の第2種夏制服です。
第2種夏制服は長袖と半袖から選択でき、開襟シャツをパンツに入れて着用するスタイルです。また、それまで女性はスカートでしたが、第2種では女性もパンツスタイルとなりました。普段の勤務で着用する第3種夏制服と同様の位置付けであり、式典などでは着用できません。
それでも、真っ白な制服の手入れに苦労してきた隊員にとっては、その負担を大きく軽減する制服となりました。
しかし、現場やファンの反応は当初、やや微妙でした。
「インドや中東の軍隊っぽい」「自衛隊らしくない」「制服というより作業着のようだ」といった否定的な意見が目立ちました。真っ白な制服こそ海上自衛隊の象徴であり誇りだという意識が根強かったこともあり、着用する隊員はなかなか増えませんでした。
導入から6年が経過した現在では、第2種夏制服を着用する隊員は当初より増えてきました。それでもなお、真っ白な第3種夏制服を着続ける隊員も少なくなく、完全に定着するまでには、まだ時間がかかりそうです。
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。





コメント