広島と長野にある「日本一短い県道」、どちらが日本一? その驚きの「短さ」とは

長野の「日本一短い県道」…とは言い切れないワケとは

「長野にある『日本一短い県道』」とは、上田市にある長野県道162号上田停車場線です。長さはなんと7m。北陸新幹線としなの鉄道の上田駅「お城口」を出るとロータリーがありますが、そのロータリーの入口となる「上田駅お城口」交差点のうち、駅寄りに設けられた横断歩道部分が、県道162号線に当たります。ちなみにその横断歩道の長さ、つまり県道162号の幅員はおよそ20mで、こちらも幅が長さを上回っています。

 広島県道204号安登停車場線に、県道であることを示す六角形の標識はありませんでしたが、こちらにはそれどころか「日本一短い県道」といった案内看板もありません。果たして本当にその長さは7mほどしかないのでしょうか。長野県上田建設事務所に聞きました。

――県道162号線は本当に7mほどしかないのでしょうか?

 実延長としては7mです。ただし総延長としては126.4mあり、お城口交差点から国道141号と交わる中央1丁目交差点までの119.4mは、県道77号長野上田線との重複区間になっています。

――昔はもっと長かったのでしょうか?

 もともとの長さは、駅舎付近から現在のお城口交差点までの55.5mでした。1997(平成9)年の新幹線開通にあたりロータリーが整備され、ロータリー部分の48.5mが市道とされたことで現在の実延長になりました。しかしこの際、県道162号線は区間変更が行われ、中央1丁目交差点、つまり国道141号交点までの126.4mに延長されています。この経緯は不明です。

 県道や国道の重複区間は県内に数多くありますが、こうした区間では「全長の長いほうを優先する」というルールがあることから、県道77号線と162号線の重複区間については、県道77号線としています。

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長野県道162号線の概念図。かつては駅舎付近からお城口交差点までの55.5mだったが、大部分が市道のロータリーになった一方で、中央1丁目交差点まで区間が延長された(国土地理院の地図を加工)。

※ ※ ※

 このような背景から、長野県道162号線は実際には7mしかないものの、名実ともに「日本一短い県道」とは言えない状況があるようです。

 広島の安浦町まちづくり協議会からは「日本一は長野でしょう」、長野の上田建設事務所からは「いや、日本一は広島ということになるかもしれません」と、お互いにゆずり合う声が聞かれました。「日本一短い県道」にふたつの説があるのには、もっともな理由がありました。

【了】

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コメント

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3件のコメント

  1. こんなに短い区間でも番号が付いてる道路もあれば、長区間にわたって旧道とバイパスの2ルートに同じ番号が付いていることもある。なんだか不公平に感じます。

  2. 都道府県道には「停車場線」という、駅と国道を結ぶ役割の道路があまたある。
    だから、「短い県道」なんていくらでもあって当たり前で、
    特別驚きもないし、記事にする必要があるのかも疑問。

  3. 広島県道204号安登停車場線は名前からして安登駅開業の昭和初期には出来たのかなあと思ったり
    今の国道185号線の奥に旧道らしき細い道路があったりして、当時はそこから伸びてたのかと
    思ったりしたのですが、もう一つの短い道路も長野にあるのですね。