戦闘機はいま「軽」がアツい! 「練習機兼軽戦闘機」国際エアショーで発表続々の背景
「軽」が注目されるワケ、戦闘機市場はどうしてこうなった?
練習機兼用の軽戦闘機市場が活性化した最大の理由は、本格的な戦闘機の高性能化にともなう価格の高騰にあります。
アメリカと旧ソ連は東西冷戦期に、同盟国や友好国の軍事力を強化するため、戦闘機を無償または安い価格で提供していました。実は航空自衛隊が最初に導入した戦闘機F-86Fも、導入した480機のうち180機は、アメリカから無償で供与されています。
しかし東西冷戦の終結にともない、アメリカとソ連(ロシア)は同盟国や友好国に対して、無償または安価に戦闘機を供給することをやめてしまいました。冷戦時代に米ソ両大国から安価に戦闘機を提供された国々のうち、韓国のように東西冷戦期に経済成長を遂げた国は、老朽化した戦闘機の後継としてF-15KやF-35Aといった、高価で高性能な戦闘機を導入しています。
一方アジアやアフリカ諸国のなかには、高性能化にともない高価になった新型戦闘機を導入するだけの財政的な余裕が無い国も少なくありません。このためこうした国は冷戦時代にアメリカから導入したF-5や、ソ連から導入したMiG-21といった、老朽化した戦闘機を使い続けています。
|
|
|
もちろんこうした国々も新型戦闘機を欲しいのですが、F-16戦闘機の最新型F-16Vは約90億円、アメリカ製戦闘機に比べれば安いロシア製戦闘機でも、Su-35Sの価格は約70億円と言われており、財政的に厳しい国々にとって、おいそれと手が出せる代物ではありません。
これに対して、韓国の航空機メーカーKAI(Korean Aerospace Industry)がロッキード・マーチンと共同開発した練習機T-50に、武装の搭載能力を追加した軽戦闘機F/A-50は約40億円と安く、財政的に余裕の無い国々でもどうにか手の届く価格帯となっています。
F/A-50は財政難に加えて、国内での反米感情の高まりからアメリカとの関係が一時冷却化したためF-5の後継機を得ることができず、2005(平成17)年に戦闘機の運用能力を失ってしまったフィリピンに採用され、同国空軍では主力戦闘機として活躍しています。
コメント