火山噴火になぜ戦車? 頑丈さや悪路走破性のみならず 雲仙普賢岳噴火と陸自74式戦車

自衛隊の災害派遣というと、トラックや重機、ヘリコプターなどの活動する様を報道でもよく目にしますが、過去には戦車が派遣されたこともあります。頑丈だとか、悪路走破性といった理由はもちろんですが、そこには別の理由もありました。

「暗視投光器」とは?

 74式戦車が装備する赤外線暗視投光器は、通常、戦車砲もしくは車載機関銃の夜間照準に使用されるものです。砲塔の中央から突きだしている105mm戦車砲の付け根、その左側に架台を介して装備されています。架台には緊定ボルトがあり、これを緩めることで投光器を前後左右に振り、照射位置の調整を行なえます。投光器内部正面には車内から操作可能な可動式の赤外線フィルターがあり、状況に応じて通常の白色投光(可視投光)と赤外線投光を切り替えて用いることができます。

 白色投光の光量は凄まじく、2km先で読書ができる程といわれます。また、戦車の教育の際は、白色投光実施中は絶対に投光部を直視しないよう厳重に指導されます。

 射撃はどちらの投光方法でも可能ですが、戦車の位置を秘匿するために赤外線投光で射撃を実施するのが一般的です。自ら赤外線を照射するこの方法は「アクティブ式」とも呼ばれます。

 このアクティブ式の投光器は74式戦車が制式化された1970年代当時では各国の主力戦車にも装備され、標準的な装備でしたが、2018年現在ではすでに「時代遅れ」の装備となり、後に登場する「パッシブ式」の熱線映像装置(サーマル・センサー/サーマル・イメージャー)が主流となっています。

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赤外線/白色投光器を装備した74式戦車。2017年の総火演まで74式は参加していた(月刊PANZER編集部撮影)。
第4戦車大隊第2中隊の74式戦車。投光器の電源ケーブルが砲塔側面を伝っているのがわかる(月刊PANZER編集部撮影)。
投光器を後ろから見たところ。砲塔の形に合わせて角が面取りされている(月刊PANZER編集部撮影)。

 では、「アクティブ式」と「パッシブ式」の違いは何でしょうか。赤外線を自ら照射し、受像装置を介して目標を視認する「アクティブ式」は第二次大戦後半に実用化され、その後も夜間戦闘における重要な装備として使用されました。

 しかし、敵が同じアクティブ式暗視装置を使用している場合、容易に発見されたり、機材が大型で運用に支障をきたしたりといった短所がありました。「パッシブ式」は月や星のような光源に照らされた目標の微量の光を増幅し、映像として視認できるもので、敵に自分の位置を気付かれることなく監視することが可能であり、現在まで暗視装置はパッシブ式が主流になっています。

 また、同様の暗視装置として熱線映像装置があります。これは目標が発する熱赤外線を感知し、映像として視認できる装置です。こちらは光源がない真っ暗闇でも目標を視認することができます。広い意味では熱線映像装置も「パッシブ式」として扱われることが多いです。

 陸上自衛隊においては、74式戦車の後継として開発された90式戦車が熱線映像装置を標準装備しており、最新鋭の10式戦車も同様のものを装備していると言われています。

参考文献:

島原市企画課/編『平成島原大変 雲仙・普賢岳噴火災害記録集』(雲仙・普賢岳噴火災害記録誌作成委員会)

江川紹子/著『大火砕流に消ゆ』(新風舎)

【了】

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【ミリタリー】急げ、救え! 自衛隊「災害派遣」の現場にせまる!

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

2件のコメント

  1. フクイチに出動した74式は、作業に人が入れない場所の障害物を105mm砲で射撃して排除したというとんでもないウワサが。

    あれだけ人が敷地内いて、戦車砲の発砲音と衝撃波を感じていれば、その話は公になるのにw

  2. 相当単純に言えば74式戦車しか行けなかっただけの話。

    重量もあるし、火砕流なんか来られた日には73式装甲車ではアルミ製だから丸焼きになりかねない。

    福一の件も同じだが74式と90式ではNBC対策が根本的に違っている。

    74式だと車体そのものを与圧して環境を維持しているのに対して、90式だと乗員の防護服で対応している。

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