米海兵隊F-35B、地味に初実戦をこなす 明暗分かれる歴代名/迷戦闘機のデビュー模様
格が違う! 「セイバー」と「イーグル」のデビュー戦
「トーネードIDS」やMiG-29とは異なり、実戦デビューで華々しい戦果を挙げたことで、名機の地位を確立した戦闘機も存在します。
1940年代にアメリカが開発したF-86Fは、1950(昭和25)年に勃発した朝鮮戦争で実戦デビューを果たしていますが、実戦投入から休戦までの約2年間で、同時期にソ連が開発したMiG-15との空対空戦闘において、F-86Fの78機損失に対して約800機を撃墜しています。
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自らが1機撃墜されるまでに何機を撃墜できるかを示す「キルレシオ」という軍事用語がありますが、朝鮮戦争でのF-86FのMiG-15に対するキルレシオは1対10ということになります。ベトナム戦争でF-4「ファントムII」は66機のMiG-21を撃墜し、逆に37機がMiG-21によって撃墜されており、キルレシオは約2対1ということになりますが、この数字と比較すれば、朝鮮戦争におけるF-86Fがどれだけ強かったのかを、おわかりいただけるのではないかと思います。
F-86Fをさらに上回る鮮烈なデビューを飾ったのがF-15戦闘機で、初陣となったレバノン紛争では、1979(昭和54)年6月27日の1日だけでイスラエル航空宇宙軍(当時は国防軍空軍)のF-15が、シリア空軍のMiG-21を5機(うち1機はクフィル戦闘機との共同撃墜)しています。
その後もF-15は湾岸戦争、コソボ紛争、2003(平成15)年のイラク戦争などでも空対空戦闘での撃墜を記録しており、実戦に参加したアメリカ、イスラエル、サウジアラビア各空軍機の戦果を総合した2018年10月時点の空対空戦闘でのキルレシオは、メーカーのボーイングによれば105.5対0(別資料によれば115.5対0)という、驚異的な数字を記録しています。
航空自衛隊は創設から現在までに、F-86F、F-86D、F-104J/DJ、F-4EJ、F-1、F-15J/DJ、F-2A/B、F-35Aという、8種類の戦闘機を導入してきました。幸いなことに航空自衛隊はこれまで、実戦を行なうことなく日本の安全を守ってきましたが、F-86F、F-4、F-15という、実戦において類まれに見る強さを証明した戦闘機を導入したことも、それを可能にした理由のひとつと言えるでしょう。
【了】
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